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【月刊小樽自身2022年2月号】カレーマニア編集長が選んだ… 小樽の絶対ウマいカレー7選!!

2022.01.25

※記事の内容は、配信時の情報に基づきます。 最新情報は、各施設へお問い合わせください。




目次(リンクで移動できます)

はじめに
【初公開】小樽カレー年表
①麦粉をラードで一から炒る自家製ルーが懐かしい黄色い蕎麦屋カレー
花園町 伊佐美屋「カツカレー」

②漁師町の豪華な海鮮丼に隠れた裏人気メニュー! あの「おタテ」のフライが4つも!
祝津 青塚食堂「ホタテフライカレー」

③有名蕎麦屋の出汁香るとろ〜りあんかけ風「カレー」じゃないよ「カレー丼」だよ!
稲穂 籔半「カレー丼」

④小樽にスープカレー文化を根付かせた立役者のゴリゴリのスパイスづかい強烈スープカレー。
色内 クレイジースパイス 「マヤックスープ」

⑤雰囲気たっぷり石造の店内で食べるクローブ香る大人味のキレのいいキーマカレー。
色内 プレスカフェ「キーマカリー」

⑥小樽で一番歴史ある昆布出汁がジワリ沁みる味わい優しいスープカレー店。
星野町 クフウ「野菜カリー」

⑦一度も味わったことのないシンプルで個性のあるカレー
春香町 かりーごや「スタミナ薬膳カリー」

編集長のやってみたシリーズ!「パキスタンカレーを作ってみた」
考察「小樽カレー」とは何なのか?

筆:山城栄太郎


はじめに


わたくし数年前に、1年365日、毎日カレーを最低一食は食べ続けた年があった。元々カレーが好きな事もあるけど、食べ続けるとカレーの迷宮にハマって、益々カレーを食べたくなって止まらなくなっていったのである。

これまでに道内は200店以上、日本中のご当地や名店レトルトカレーを300種類以上食べてきた。その殆どを詳細な記録に残している。味や歴史文化をしたためた記録ノートは8冊に及ぶ。

新型コロナの影響で今は2〜3日に1食位に減ったとはいえ、大好きな事に変わりない。カレーの聖地札幌に比べると小樽のカレー文化は有名ではない。でも、小樽に出かけてまで食べる価値のあるキラリと光る個性的なカレーというのも存在する。

今回は私が食べた小樽市内の数あるカレーの中でも特にお勧めしたい個性的でおいしいカレー、スープカレーをご紹介します。今までかなりのお店のカレーを食べたとはいえ、私の独断のセレクトに異論反論もあるとは思いますが、そこはまあご容赦あれ(笑)


【初公開】小樽カレー年表




年表の最新部分は上記の通り。

こちらからご覧ください➡【小樽カレー年表

画像にてお見せしている部分は最近のものですが、なんと1600年頃からのカレー記録を綴っております。
今や小樽の老舗・名店と呼ばれる店舗の開店なども記載してあります。小樽を昔から知る方は懐かし~い気持ちになるかもしれません。
情報量満載です!ぜひ目を通して見て下さい。




①麦粉をラードで一から炒る自家製ルーが懐かしい黄色い蕎麦屋カレー
花園町 伊佐美屋「カツカレー」




伊佐美屋
「カツカレーとミニ蕎麦セット」(ミニ蕎麦:冷たいとあったかいからあったかい)(1120円)。



伊佐美屋のカツカレーはカレーマニアの私が食べても毎回絶品だと思う。
昔風の黄色いカレーソースの甘さと辛さと香ばしさが実に美味しい。
私のような50代以上の人が昔懐かしさで美味しく感じるだけなのかといえば、さにあらず。我が家の高校生の甥っ子までもが「今まで食べた中で一番美味しいカレー」だと言うのだ。
本当に美味しいものは時を超えて普遍だ。

そのルゥ作りに立ち会った事がある。強い匂いが立ち込めるため店主はわざわざ蕎麦屋の休日に出勤して仕込む。大釜でラードで小麦粉と澱粉とカレー粉を2時間かけてゆっくり炒っていく。先代から続く伝統作法だ。手が火傷するほど熱く捏ねるのに力もいるという大変なものだった。
ではなぜこんな作業をするかといえば、どんな優秀な市販のルゥやフレークでも絶対出せない滑らかでサラッとしているのに深く芳しい味と香りがする。手間をかけただけの「手作り」のいい味があるからである。
なんとこのルゥを伊佐美屋のもう一つの名物「ラーメンのチキンスープ」で伸ばす。そば屋カレーの定石である和だしで伸ばすのではない。
カツカレーなのに、カレーソースにはお肉や野菜がたっぷり。実に贅沢でリッチな気分になる。
カツはやや薄めでカリッと揚がっているので、ソースを上からかけても終始サクサク。添えられてくる中濃ソースをちょいかけてもさらに美味しい。

そしてミニ蕎麦であるが、これがそば屋の本領発揮のさすがのお出汁の味である。沁みるようにうまい!しかもそばも結構のボリューム。
前から思っているのだが、スパイシーなカレーとほっと甘いそばつゆは最強のコンビ。
激務だった東京での編集者時代には立ち食いそばで、このセットを食べて何度腹も心も救われた組み合わせだろう。
ソースをちょいかけたカツを食べ、カレーをかっこみ、そばと汁を啜る。口の中でインドとヨーロッパと日本が摩訶不思議なマリアージュ、なんて幸せなんだ!

昭和11年から続く老舗そば屋だけに、カツカレーという種物メニューも実に洗練されている。
齢とともに少食になった私でも、仕事に疲れた時でもついついぺろっと平らげて元気になってしまう麻薬的セットメニュー。
近場なら出前もやってくれる。なかなか外に出にくい中で、近所(花園)に伊佐美屋があって本当によかったと思う今日この頃である。

伊佐美屋
住所: 小樽市花園4丁目7-2
TEL: 0134-22-3095
Facebook






②漁師町の豪華な海鮮丼に隠れた裏人気メニュー! あの「おタテ」のフライが4つも!
祝津 青塚食堂「ホタテフライカレー」




水族館のすぐ隣 青塚食堂
「ホタテフライカレー」(935円)、(現在メニューには無いが、注文したら普通に出してくれた(笑))



祝津の青塚食堂といえばジャンボニシン定食や豪華なウニやイクラ、ボタンエビの乗った海鮮丼をまずは思い出すだろうが、実はカレーも超美味いのである!^_^

元々は地元の漁師さんや住民も利用する食堂だったため、海鮮の他にもそば、うどん、ラーメンも普通にある。
その中でもカレーは特に秀逸。見た目は昔風のカレーなれど、カレーソースがめっちゃフルーティーでほんのり甘くて、バクバク食べさる。これは大量の炒め玉ねぎがルーにとろ〜り溶け込んでいるからだろう。
小麦粉より玉ねぎが主のトロミの素ということは実はインドカレーにも近い。だからここのカレーは昔風ながら一味も二味も違うのだ。

そして今小樽の水産系の目玉商品と言えば、ここ祝津で養殖水揚げされた小樽産のホタテ=「おタテ」であるが、このカレーには、そのおタテのフライが4つも乗っているのである!
「おタテは小ぶりだが身がしまってプリプリ」だと言われるが、小ぶりどころか一口でははばける大きさである。
「おタテがウマイ!」×4回も楽しめるので、2回はそのままカレーソースで。残りの2回は店のお姉様にソースや醤油を出してもらいフライに少しかけて味変していただいてもウマイ!
そしておタテフライだけでなくライスもソースもデフォルトで大盛りなので、お腹いっぱい間違いなしだ。

海鮮で有名な店だけにカレーを食べていると観光のお客様にガン見される事もある(笑)
そのくらい地元民っぽい裏メニューだけど、このおタテカレーは、祝津まで行って食べてみる価値大ありの一皿だ。

青塚食堂
住所: 小樽市祝津3-210
TEL: 0134-22-8034
ホームページ






③有名蕎麦屋の出汁香るとろ〜りあんかけ風「カレー」じゃないよ「カレー丼」だよ!
稲穂 籔半「カレー丼」




籔半(やぶはん)
「カレー丼」(870円+税)。



粋な酒も肴メニューも豊富で旅先の昼飲みもできる本格的お蕎麦屋さんのカレーは、やっぱりそんじょそこいらの並じゃなかった。よく「そば屋のカレーは云々…」などと言うが、これこそ究極のそば屋カレーかもしれない。

このカレー丼はいわゆる小麦粉とカレー粉で作ったルーを使った黄色い日本式カレーではない。玉ねぎと新鮮な豚肉をちゃちゃっと炒め、カレー粉とそばつゆとを合わせて澱粉でとろりととじたスタイルだ。
煮込んで無いのでシャキシャキした玉ねぎと味の濃い豚肉の旨味がたまらない。 そして家庭では出せないそば屋ならではの濃くとったキレのいい出汁つゆが絶妙の「和風あん」となってご飯にふんわりと絡みつく。

なめらかな舌触りでぐいぐい匙が進む。「んー豚肉の香りがいい!」「そばつゆとカレーってどうしてこんなに絶妙に合うんだろうか?」「この丼に蓋があるのは、そばのお客さんにカレーの匂いが行かないようにの心遣いなのかな〜」などと食を楽しみながらたわいもない言葉、思いが頭に巡る。

熱々なのに、あっという間に食べ終わった。食べ終わってから我に返って気づいた上品な出汁のお吸い物を飲み干し、まるで食後のコーヒーのように蕎麦茶を啜りながらお茶請けの漬物をポリポリ。
石造倉庫を利用した店内には生の桜が咲きひな祭りの装飾が。
数日前なんと店の若女将に初の娘さんが生まれたそうだ。実にめでたいめでたい!

籔半(やぶはん)
住所: 稲穂2-19-14
TEL: 0134-33-1212
ホームページ/Facebook






④小樽にスープカレー文化を根付かせた立役者のゴリゴリのスパイスづかい強烈スープカレー。
色内 クレイジースパイス 「マヤックスープ」




クレイジースパイス
「クレイジーチキンカレー」(1180円)、マヤックスープ、辛さ10番。白米か雑穀米で雑穀米を選択。



2003年オープンの小樽発のスープカレー店。入れ替わりの激しい業界で今や札幌の名店でもここを越える老舗は少なくなった。
もちろん私が最初にスープカレーなる未知の食い物を食べたのもこちら。その頃はまだ「ノーマルスープ」一択だったが、すぐにそのキレのいいスパイス感と経験した事のない鮮烈な辛さ、スープと大きな具材の旨さにハマってしまった。

あれから15年。ほぼ札幌のスープカレー店を全制覇した今も、ここのスープはうまいと思う。
今ハマっているのは「マヤックスープ」。
一言でいえばスパイス入れ過ぎ系スープ。
皿の底に粗挽きのがザリザリするくらい入ってやがる。
スープを啜るとツーンと強烈に鼻に抜けるカルダモンやバジルやらの爽やかな芳香。
こんなやり過ぎなカレーは他で食べた事がない!
しかもレッグも炙りスパイスを皮目にまとった「クレイジーチキン」ときたもんだ。
辛さ10は僕にとっては抑えた辛さなのに、尋常じゃない汗が噴き出す。良く言えば超デトックス。ふと気がつくとほとんどライスに手もつけず半分ほどスープを飲み干していた。マヤックスープ=○薬のように病み付きになるスープ、、なのだ?

気を取り直して雑穀米ライスと野菜や具材をいただく。特筆すべきは超厚手の揚げカボチャと甘く煮込んだホロホロのダイコンである。私はこのスープカレーでは珍しいダイコンの具が大好きである。
ぜひ一度お試しあれ!

いきなり「マヤック」は、、、という貴兄には、すっきりシンプルで飲みやすい「ノーマルスープ」、まろやかなコクがクセになる「MMBスープ」も合わせてオススメである。

クレイジースパイス 小樽本店
住所:小樽市色内3-3
TEL:0134-27-9048
ホームページ






⑤雰囲気たっぷり石造の店内で食べるクローブ香る大人味のキレのいいキーマカレー。
色内 プレスカフェ「キーマカリー」




PRESS CAFE(プレスカフェ)
「キーマカリー」(1220円)大盛り(+100円)(土日祭日限定ランチタイムサービスでドリンク「ホットコーヒー」、ミニサラダ、デザート「ミニプリン」付き)。



雪の運河越しに北海製罐のキリリとそびえる建物を眺めながら本当に美味しいキーマカレーをいただいた。
小樽の港の風景や建物には過去の人々の情念がまとわりついているように感じる。たまに重過ぎて逃げたくなる事もあるけど、ここのところは結構まっすぐ見つめながら暮らしてきた。
そこに身を置くだけで窓枠に切り取られた大正や昭和の走馬燈をリアルに感じ取ることができる。

ただでさえクローブの効いた美味しい大人味のカレーを、歴史と対峙しながらいただけるのである。これぞ小樽でカレーを食べる醍醐味である。小樽のカレーはただ腹を満たす為だけにあらず。
ソテーしたオニオンの深くナチュラルな甘味にひき肉の旨味と一家言あるスパイスの組み合わせ。味付けは控えめなのが品がいい。ご飯を食べさせるための味の濃いカレーは、歳と共に疎遠になった。ソース自体がバランスいいのだ。
中にお宝のように野菜が埋まっているのも単調にならずに嬉しい。舌の上でじっくり転がして食べたくなるようなキーマカレー。

天井の高い倉庫作りの店内は時間が止まったようだ。大人のプラモデル遊びのようにヴィンテージカーやキャブレターなどの自動車部品がポンと無造作に飾られている。一皿のカレーと光景を通じて、この街で「大人」になったことを良かったな〜と思えた至福の瞬間だった。

PRESS CAFE(プレスカフェ)
住所:小樽市色内3-3-21
TEL:0134-24-8028
ホームページ/Facebook






⑥小樽で一番歴史ある昆布出汁がジワリ沁みる味わい優しいスープカレー店。
星野町 クフウ「野菜カリー」




soup curry Kufuu(クフウ)
「チキンカリー」(1100円)、トッピング:ホウレンソウ(100円)、辛さ:3(ジャンベ)、ライス普通。ランチタイムのサービスドリンクでホットコーヒー。

2001年創業の小樽一老舗のスープカレー屋さん。同じ頃オープンは札幌だと「心」「メディスンマン」。前の年(2000年)だと「ピカンティ 」「カラバトカリー」というから相当の老舗である。

ここのスープカレーはゴテゴテしてないすっきりスープで身体に優しい味がする。胃袋にすっーと染み込んでいくようだ。シンプルでいい材料、素材とスープカレーでは少なめの15種類のスパイスで丁寧に作っているのが伝わってくる。
今時のスープカレー店に比べるとメニューもいさぎよく4種類!ととても分かりやすくシンプルだ。
今日は基本中の基本である「チキンカリー」をいただこう!そして、絶品のホウレンソウのソテーをトッピングしてもらう。

んー、珍しい昆布メインのだしにチキンと野菜の旨味が合わさって、嫌味のないナチュラルなスープだ。油分も少なくあっさりすっきりキレのいいトマトベース。上に振りかけられたバジルの香りがいいアクセントになっている。喉越しが良くてぐいぐい飲めてしまう。
圧力鍋で良く煮込まれたチキンレッグはトロトロで骨離れもよく食べやすいし味もいい。なんとチキンの中骨はかじるとサクッと歯が通り食べられてしまうのだ。(私は食べなかったがw)
具は甘いニンジン、北海道の至宝じゃがいも、ピーマン、油と合わさると数段レベルアップするナス、ゆで卵である。どれもかなり美味い!
そして私が毎回どんなメニューにもトッピングしているのがホウレンソウだ。こいつが絶品中の絶品で、油と合わさったホウレンソウの甘さとジャッと勢いよくソテーした香ばしさがたまらない。
ホウレンソウはここを訪れたらぜひ注文するべきだ。
ライスもシンプルな白米ながら炊き加減も絶妙で美味しかったことを付け加えておく。

ランチタイムサービスのホットコーヒーをしみじみ飲みながら、一気に食べた一皿の満足感を反芻する。南国風のインテリアのライブもできる広々とした店内に静かに流れる音楽(シャーデー)を聴きながらの昼下がり、、、。
空腹を我慢して星野町まで遠出してきた価値大あり。最高である!^_^

スープカリーKufuu
住所:小樽市星野町22-1
TEL:0134-62-0202
食べログ/Instagram






⑦一度も味わったことのないシンプルで個性のあるカレー
春香町 かりーごや「スタミナ薬膳カリー」




かりーごや
「スタミナ薬膳カリー(スープタイプ):チキンカリフラワーオクラジョル」(1280円)、辛口。



「小樽で一番個性的なカレーを出す店は?」と問われれば、私は間違いなく春香の「かりーごや 」と答える。
今まで一度も食べた事が無いタイプのカレーである。南北インド、パキスタン、ネパール、スリランカ 、、インドネシア、、いずれとも全然違う。

「スタミナ薬膳カリー」(スープタイプ)はバングラディシュのベンガル地方のスープカレーなのだそうだが、普通の「札幌スープカレー」を想像して食べると、あまりの違いに同じ食べ物とは思えないかも。
札幌スープカレーの濃い味に慣れ過ぎてしまった人には、ナチュラル過ぎて「薄くて物足りない!」と感じるかもしれない。
ここのスープカレーを食べる時はそのような既存の先入観を全て捨てて臨むべきだ。
そうすれば、チキンベースの澄んだシンプルなスープの美味さをじわり感じられ、ウコンをはじめ42種類も加えたスパイスは、日本のカレー粉とは全然違う独特の香りを楽しめるはずだ。

玉ねぎベースのカレーペーストは使っていないようで、とろみが無くすごくスッキリした喉越し。白菜などの野菜の自然な甘みも溶けこんだ日本人にも親しみのあるごく優しい塩味で、冬の冷えた身体に優しくジワーッと染み込んでいくようだ。

薬膳といってもウコンベースのスパイスは意外と主張し過ぎない。なんとも表現できない香味だが、やや韓国の参鶏湯に近いイメージか? 身体の内側からポカポカしてくる。
実際ここのカレーは、風邪気味で体力が落ちた時に食べにくるという小樽人も多い。黄色く炊き上がったターメリックライスはバターのような香りとしっかりとした味付けで、あっさりのスープとの対比が絶妙のバランスになっている。トッピングの野菜(カリフラワー、オクラ、白菜)はボリューム満点で、中々チキンにありつけないほどだ。お高いカリフラワーをこれだけムシャムシャ食べられるのが嬉しい。ゆで卵も丸々1個。しっとり茹で上がったチキンレッグも大きめで大満足。
ライスにはレモンが添えられているので途中でかじっても、スープやライスに絞っても味変できて楽しい。 皿の底までスープを啜り終わると、もうお腹パンパンのハズなのに膨満感が無いのが不思議だ。

帰りの車の中で、冬だというのにお腹いっぱい&身体ポカポカの多幸感を味わっていた。
それにしても、今まで他店では一度も味わったことのないシンプルで個性のあるカレーである。

かりーごや
住所:小樽市春香町359-1
TEL:0134-62-1244






編集長のやってみたシリーズ!「パキスタンカレーを作ってみた」




真のカレー好きは、もはやカレーをスパイスから、自分で作ってしまうのです。
以前から好評の編集長の作ってみたシリーズ!「パキスタンカレー編」です。



材料
鶏のもも肉3枚
玉ねぎ中1玉
生姜1片
ニンニク1片
カットトマト缶半分

A.スタータースパイス
(全てホール)シナモン1片、クローブ6粒、クミン小さじ1、カルダモン4粒、コリアンダー小さじ1、種をとった唐辛子2本、ベイリーフ1~2枚(全て量は適当)、サラダ油150cc

B.後のせスパイス
ブラックペッパー、ホールクミン、ホールコリアンダー、バジル、ベイリーフ少々C.メインスパイス:カレー粉大さじ1.5、

1.まずはAでスパイスオイルを作る。サラダ油をやや熱しスタータースパイスを入れていく。さらに熱するとシナモンやカルダモンからシュワシュワ泡が出てきて、クミンが弾けてくる(油ハネに注意!)。スパイスの色がやや褐色になりいい香りがしてきたら火を止める。

2.スパイスオイルを冷ましてからスパイス殻を金属網で掬って鶏もも肉を3枚ひたひたに浸るよう油に入れる。(油が熱いまま入れると激しくハネるので必ず冷まして入れる)。※写真はもも肉2枚ですが実際は3枚で作ります。

3.ある程度肉に熱が入ったら、ミジンに刻んだ玉ねぎ、ニンニク、すりおろした生姜を加えてじっくり煮込む。Bの後のせスパイスを肉にふりかけ、ベイリーフを加えて約1時間。

4.玉ねぎが透き通って火が通ってきたらカットトマト缶を半分入れて、また煮込む。約1時間。

5.2時間ほど煮込んで肉にしっかり火が通り油がオレンジっぽくなってきたらカレー粉を加えて、木べらで肉を突いて繊維をほぐしていく。うまくほぐれない場合はまだ十分火が通って無い証拠。

6.塩で味付け、隠し味でみりん、砂糖を加える。すぐ食べてもいいが一晩おくとさらに美味しくなる。ハイ、出来上がり!




あとがき


「小樽 の カレー」を食べ続けてきて「小樽カレー」とは何なのか? の考察を綴る。

カレー専門店が少なくて、貫くような個性に乏しい小樽のカレーの特徴をあえて語るならそば屋、ラーメン屋、若鶏半身揚げの店、海鮮定食、喫茶店メインの店のサブメニューとしてのカレーが意外と美味しいという点だろう。

これには小樽ならではの歴史が関わっていると私は思っている。港湾、鉄道、運輸、漁業関係の労働者の昼めし食堂としての役割を担ってきたそば屋や中華料理店は、客を飽きさせないために種物(たねもの)の種類を増やしていった。その目玉がカツやカレーといった「洋食」である。カレーは単品でもいけるし、カツにかければカツカレー、そばやうどんにかけてもいけたし、ミニカレーとのセットにしてもいい。日替わりのメニューを増やすにはもってこいだったわけだ。また明治大正昭和の日本人の西洋文化に対する強い憧れのようなものもあったと思う。

そういった労働者の昼食文化は表向きの看板は、そば屋、中華料理屋、定食屋、喫茶店と違うジャンルだが、フタを開けるとメニュー的には同じものがたくさん「カブる」という珍現象を生み出した。

やま安、ヤマカ、三〼支店、三門にはあっさりうまいラーメンがあるし、カレー(南蛮)そば、うどんもある。伊佐美屋にはカツカレーやカツ丼、天丼があるし、ラーメンもある。中華の桂苑にはカツカレー、オムライス。華舟にはモツ煮やトンカツ定食。半身揚げのなると本店には寿司はもちろんカレー、チャーハン、オムライス、豚エッグ、天丼もある。海鮮丼で有名な青塚食堂にはそばもうどんもラーメンもカツもカレーも親子丼もある。喫茶コロンビアやミレットのカレー、パスタ他のフードメニューの充実ぶりは凄いといった具合だ。

ふーーー上げるとキリがない。

そしてその裏メニュー(カレー)がどれもうまいのである。つまり看板的には専門外の「○○屋のカレー」が意外と美味い、、、これが小樽カレーの一つの特徴(キーワード)と言える。

小樽人は「保守的」だと言われる。新しいものには飛びつかないし冷ややかだと。カレーにおいても確かに「スープカレー」が市民に定着するのも札幌に比べて時間と年月を要した。私もよく「あんな薄めたカレーなど食えるか!」とか「食べ方が分からない」とかいう軽い拒絶反応の声を聞いてきた。

ところが、あれから20年経った今ではクレイジースパイスや春香のラマイなどは昼時は満席になるほどだ。
もっとも全国的に広がりを見せる「スパイスカレー」のような新しいカレームーブメントはまだこの小樽では胎動すらしていないが、、。
伝統を重んじ、先人の遺してくれたものを大切にするまち小樽では、これからも伝統的カレーが主流なのはしばらくは変わらないだろう。
心配なのはこれら小樽らしい「小樽カレー」を出すお店があと何年続いてくれるかだ。

スーッとまるで砂に水が吸い込むかのように、一斉を風靡した喫茶エンゼルが次々店をたたみ、気づくと市民会館の三幸や都通りのガリオン、花銀の鍋匠、大丸ラーメン、トレノが無くなってしまった。

小樽市総合博物館の石川館長が新聞のコラムでおっしゃっていたように、我々市民も「残したい店は自ら通って利用する」べきだし、そして今回のこの特集のように「情報を拡散する」という小さなクラウドファンディング運動を継続していくべきだろう。

最初は拒絶しながらもじっくり時間をかけて「良いもの」を認めていく小樽人の心の扉を開く次なる小樽らしいおいしいカレーの登場を願って、ひとまず筆を置きたい。