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全国規模の品評会で3年連続「金賞」。
小樽には、全国のプロが認めた「おいしいミニトマト」があります。
忍路(おしょろ)の農家「なまらファーム」が育てる北海道品種「ほれまる」は、独自ブランド「ほおばりっち」として市内のホテルや飲食店で提供され、札幌や東京にも出荷されています。本記事では、美味しさの理由や小樽の歴史と文化との繋がり、そして農業と観光の新しい可能性をご紹介します。
小樽で出会う特別な味|野菜ソムリエサミット金賞受賞
なまらファームが育てるブランドミニトマト「ほおばりっち」は、北海道品種「ほれまる」をベースにした特別な一粒です。
糖度や大きさなど、農園が定める厳しい基準を超えたものだけが、「ほおばりっち」として出荷されます。
見た目が整っていても、味が伴わなければ市場には出さない。
「本当においしいものだけを届ける」という哲学が根底にあります。
スーパーなどで見かける同じ「ほれまる」でも、水や肥料、温度管理の工夫によって、味わいは大きく変わります。
例えばお米だと「コシヒカリ」のブランドが有名ですが、同じ品種を育てても、気候や土地、水の違いや生産者によって味は変わります。
同じように、ミニトマトも生産者の向き合い方で表情を変えるのです。

ニシン漁の歴史を肥料に生かす農業
かつて小樽を支えたニシン漁。
なまらファームでは、肥料にニシンを使うことで小樽の歴史を受け継いでいます。
その物語は、農業と観光をつなぎ、新しい可能性の芽を育てています。
他にもホタテやトビウオ、焼いて砕いたホタテ貝殻などの海産物を専門家と共に配合して肥料にし、有機JAS基準をベースに試行錯誤を重ねました。
その結果、旨みが一層増したミニトマトは、全国のプロから高い評価を得るようになりました。
さらに、なまらファームの野菜が美味しい秘訣は小樽の水にあります。
畑の通路が水びたしになるほど潤沢に水を与えることで、かじった瞬間に果汁がはじけ、甘みとうま味が口いっぱいに広がるミニトマトが育ちます。

3年連続金賞!全国に誇る小樽のブランドトマト
なまらファームは、野菜ソムリエサミットで3年連続「金賞」を受賞しています。
この品評会は、産地や生産者名を伏せた完全ブラインド方式で行われ、味だけを絶対評価で審査する厳しい大会です。
青果部門では「ほおばりっち」が2年連続で金賞を獲得し、加工品部門でも「ミニトマトジュース」が金賞を受賞。
安定した品質と深い味わいが、客観的にも認められた結果となりました。
2025年も青果部門に「ほおばりっち」を出品予定で、受賞すれば3年連続という快挙となります。
小樽発のブランドが、全国のプロから揺るぎない評価を得続けているのです。

小樽の農業を未来へつなぐ|文化を継承するなまらファームの挑戦
東京から移住した渡邊充康さんが農業を志したきっかけは、「小樽の農業を絶やしたくない」という地元農家の声でした。
当初は小樽の菓子製造メーカーに就職、2019年に新規就農してからは、「本当においしい野菜を届ける」ことを信念に日々研究を重ねています。
将来は、なまらファームで学んだ人が独立して農業を始める流れをつくり、10人の新しい農家を輩出したいと夢を語ります。
小樽から東京・札幌へ|全国へ広がる「ほおばりっち」の販路
「ほおばりっち」は小樽市内の直売所やホテルで味わえるだけでなく、銀座や札幌へも販路を広げています。
小樽市内では、駅なかマートタルシェやポートマルシェオタルエで購入可能。
植える時期をずらしているため、7月から10月上旬まで旬な野菜が味わえます。
また、ホテルノイシュロス小樽では7年前から取引があり、なまらファームの野菜がホテルのメニューに採用されています。
一般的なホテルの朝食では価格の安いトマトが使われることが多い中で、ホテルノイシュロス小樽は地元農家が育てた「ほおばりっち」をあえて選び、朝食バイキングで提供しています。
宿泊客に小樽の美味しさを伝えたいという、ホテルの心意気が表れています。
▼小樽で「ほおばりっち」を味わえる宿|【ホテルノイシュロス小樽】の詳細はこちら
https://tsumugu-otaru.jp/spot/num0108/

そして販路は小樽だけにとどまりません。
2年連続金賞の実績をきっかけに、全国のバイヤーが畑を訪れるようになりました。
雪が残る季節に岡山県から訪れたバイヤーが契約を決め、2025年には無印良品 銀座店での販売がスタート。
さらに東京・大阪・九州へと販路拡大の計画が進んでいます。
一方で札幌でも、マルヤマクラスのフレッシュファクトリーに並ぶようになり、札幌を拠点に知名度をさらに広げています。
小樽発のブランドが、全国へと確実に歩みを進めているのです。
▼プロの目利きも絶賛!「ほおばりっち」が札幌【フレッシュファクトリー】で販売中
https://freshfactory.jp/
小樽で味わう観光グルメ|金賞ミニトマト「ほおばりっち」と新鮮野菜
小樽市内の飲食店でも、なまらファームの野菜を使った料理が楽しめます。
大衆バルBridgeでは、人気メニュー「チキンオーバーライス」になまらファームの「ダルタリー」を使用。熱々のご飯に千切りレタスと鶏肉がのる、ニューヨーク発祥の屋台メシ。地元野菜との相性も抜群です。
そのほか、石と鉄 STONE and IRONや和風だし伊藤圓などでも、なまらファームの「ほおばりっち」や「ダルタリー」を使ったメニューが提供されています。
小樽の飲食店を巡れば、町の空気とともに地元農家の味を楽しむことができます。
小樽農業の未来を描く|新しい夢と挑戦
JA新おたるの2024年度データによると、市内の農産物売上の約70%(約1.4億円)をミニトマトが占めています。
観光や海の幸のイメージが強い小樽ですが、実は農業も地域産業として根付いており、その象徴がミニトマトです。
全国から評価され、金賞を受賞するミニトマト「ほおばりっち」。
小樽の海の恵みが畑を潤し、実を結ぶ。その背景には、ニシンの記憶を受け継ぐ土地への敬意と、なまらファームのゆるぎない哲学が息づいています。
旅の途中で出会う、特別に赤く輝く一粒は、小樽の風景とともに心に残る特別な味わいとなるでしょう。

▼マルシェ情報など詳しくは公式instagramから
https://www.instagram.com/namarafarmotaru/

ライター 盛合将矢
本業はSEOライターです。フリーではエッセイやコラムを中心に、歴史や文学をテーマに執筆しています。難しそうに見える話の敷居を下げ、誰かの知的好奇心に火を灯すような文章を目指しています。
ライターという職業の幅広さに驚きつつ、日々、勉強のやり直しです。情報に込められた温度や、その背景にある人の思いに敬意を払いながら、言葉を重ねています。AIにはまだ負けないぞ、とペンを握る日々です。
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