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【月刊小樽自身2023年2月号】小樽×アイヌ文化トピック10選

2023.01.25

北海道を中心とした地域の先住民族であるアイヌ民族。

小樽に残るアイヌ文化を感じることができる資料は少ないのですが、2023年3月5日まで開催している企画展「アトゥイー海と奏でるアイヌ文化 」では、貴重な資料の数々を小樽で見ることができます。

企画展の開催に合わせて、小樽におけるアイヌ文化にまつわるトピックを集めました!



①松浦武四郎によるアイヌ語地名地図

小樽市総合博物館所蔵

幕末期に、当時「蝦夷地」と呼ばれていた北海道とその周辺を探検したことで有名な松浦武四郎。北海道を、アイヌ民族の協力を得て調査しました。
小樽市総合博物館運河館にて、小樽周辺を拡大したものを展示しています。
「おたる」という地名も、アイヌ語由来と言われています。



②テタラペ

小樽市総合博物館所蔵

小樽市の高島地区に住んでいたアイヌ民族が持っていたと言われる衣装。テタラペは「白い物」という意味で、その名の通り白い生地が特徴です。
「イラクサ」という植物が使われており、主に樺太で一般的に使用されてきた衣装です。
かつてより小樽と樺太が文化的な接触があったことまでをうかがわせる資料です。



③鍬形(くわがた)

小樽市総合博物館所蔵
江戸時代ごろの資料ではないかと言われています。

クワガタムシの形にちなんで「鍬形(くわがた)」と呼ばれます。鉄でできており、 もともとは、カブトの装飾品。 こうした金属製品は、本州との交易で渡ってきたものと言われています。
どうやって使っていたかと言うと…「呪術品」!威力が強いので、普段は土の中などに隠しておき、変事が起きた時に出しておくと効力を発揮するのだそうです。
この鍬形は、昭和初期に小樽周辺から発掘されたといわれています。

①~③の資料は、小樽市総合博物館運河館にて常設展示しています!
《小樽市総合博物館 運河館》 ホームページ Facebook
小樽市色内2-1-20 
TEL:0134-22-1258



④天川恵三郎さん

小樽を代表的するアイヌ民族といえば天川恵三郎さん(1864年~1934年)で、熊碓(現在の小樽市桜)の首長の家に生まれ、小樽で初めてできた小学校である「量徳小学校」(2012年に閉校)の最初の生徒として、首席で卒業しました。
旭川のアイヌ民族の土地返還活動にも注力していました。
クマ獲りの名人でもあったそうです。



⑤チャシ

「チャシ」はアイヌ文化特有の遺跡で、アイヌ語で「砦」などと訳されます。丘の上や崖の近くに、壕(ごう)をめぐらしたつくりをしています。
戦の際に使用する砦という説もありましたが、争いの痕跡が見られないことから祭式の場、チャランケ(談判)の場という説が有力だと言われています。

そんなチャシが、小樽市内にも残されています。望洋東公園にある「桜チャシ」です。
チャシに上がってみたら、どんな景色が見えるでしょうか?

詳しくこちら▷小樽百景~遺跡「チャシ」



⑥「夷人メノコ熱砂上温身之図」(砂浴)

北海道立文学館所蔵

小樽のアイヌ民族の暮らしを描いた資料が残されています。徳川幕府の役人である井上貫流左衛門により描かれた「アイヌ絵巻」(北海道立文学館所蔵)です。 全部で21枚の絵から構成されます。
1808年ごろのタカシマ(現・小樽市高島、祝津周辺)に住むアイヌ民族との交流を知ることができます。
上記の絵は砂浜で砂浴している様子。現在はニセコ・積丹・小樽国定公園にも指定されている美しい海岸ですから、リラックスしながら過ごしていたのではないでしょうか。



⑦「子ども便秘治療の図」

北海道立文学館所蔵

続いてもアイヌ絵巻の一部より。

こ、この絵面は…!
初見で驚いてしまいますが、アイヌ民族の女性が、子どもの便秘治療を行っている様子の絵です。
それにしても、なんて苦しそうなのでしょう…。



⑧「二種類のウニ図」

北海道立文学館所蔵
(左・エゾバフンウニ 右・キタムラサキウニ)

続いてもアイヌ絵巻の一部より。

描かれているのは、そう!ウニ!!
アイヌ民族に勧められて食べたウニが大変美味しかったという感動した様子が記されています。
小樽のウニと言ったら、現在でも多くの方がお目当てにする小樽のとっておきグルメです♡その美味しさに魅了されている方は多いはず。
小樽のウニの美味しさはタイムレスなのですね!

小樽のウニについて詳しくはこちらから⇩
【月刊小樽自身2022年6月号】小樽のウニ なぜ「美味い」?その理由は…



⑨「酖酔(ちんすい)ノ夷人ヲメノコ連帰ル図」

北海道立文学館所蔵

アイヌ絵巻からご紹介する最後の絵です。

酒盛りを楽しんで踊り、酔っぱらって奥さんに連れ帰られる様子を描いたものです。
中央の方の顔は赤らみ、左側の酔っぱらった旦那を連れ帰る奥さんの表情は心なしか険しく見えます。
現在も昔も、人間のすることは変わらないですね!笑

⑥~⑨の絵巻は、2023年3月5日まで小樽市総合博物館本館で開催中の企画展「アトゥイー海と奏でるアイヌ文化 」 にて展示されています!
※2023年1月11日からは現資料ではなくパネル展示に変更

(企画展の担当学芸員 菅原さんよりメッセージ)
現在、小樽をイメージするキーワードといえば、運河や鉄道、石造倉庫など、近代に生み出された要素が極めて強いですが、それ以前からアイヌ民族の歴史が脈々と続いていることを、この絵巻は、如実に示しています。和人の描いた200年前のアイヌ民族の暮らしについて、全体的に距離感が近く、生き生きとした情景を感じていただけたら嬉しいです。



⑩カムイトノト

お土産にぴったりなのがこちら!小樽の酒蔵「田中酒造」では、アイヌ民族の儀式に欠かせないお酒を、近年製品化しました。
旧アイヌ民族博物館(白老)が監修しており、ラベルにもアイヌ文様が使用されています。
製品名の「カムイ」はアイヌ語で「神」(※日本語の神とは概念が異なります)、「トノト」は「酒」を意味しております。
国産のひえと北海道産米麹で醸造した、ほどよい酸味と甘みのあるお酒です。
一つ前にご紹介した酒盛りの時に飲んでいたお酒も、もしかしたらカムイトノトに近いかも…?

お酒が飲めない!と言う方は、ピヤパの甘酒をどうぞ。(ピヤパ=稗(ひえ)のアイヌ語)

購入はコチラ▽
田中酒造 本店(小樽市色内3-2-5 TEL:0134-23-0390)
田中酒造 亀甲蔵(小樽市信香町2-2 TEL:0134-21-2390)

商品についてはコチラ▽
カムイトノト-田中酒造株式会社オンラインショップ





以上、小樽市内のアイヌ文化を感じることができるトピックを10個ご紹介しました!
小樽の歴史と言えば、ニシン漁で栄えた江戸時代後期からという和人によるイメージが濃いですが、それ以前からずっと続いているアイヌ民族の歴史にもぜひご注目いただきたいところ。

現在小樽市総合博物館にて開催中の「アトゥイー海と奏でるアイヌ文化」では、 今も受け継がれるアイヌ文化について日本全国から集めた豊富な資料により感じることができます。
開催も残り1か月余りとなりましたが、ぜひこの機会に訪れてみてくださいね。

アトゥイー海と奏でるアイヌ文化
2022年12月3日(土)~2023年3月5日(日)
会場:小樽市総合博物館本館(小樽市手宮 1-3-6)
TEL:0134-33-2523
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