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広がる小樽の”おもてなし”の輪-小樽おもてなし認証の取り組み【Webマガジン小樽通】

2026.09.17

オール小樽で取り組んでいる「小樽おもてなし認証」制度。全国初・地域独自の制度として、観光協会を中心に「小樽をおもてなしの街に」との想いで活動しています。

この認証を取得した企業・施設は、認証のプロセスのなかで自社のおもてなしをあらためて見直し、他の認証取得施設と共に学び合いながら、さらなる「おもてなし力」向上に努めています。

※記事の内容は、配信時の情報に基づきます。 最新情報は、各施設へお問い合わせください。




【目次】
▸「今日がスタート地点」令和8年 小樽おもてなし認証 認証式の報告
▸令和8年 小樽おもてなし認証 取得施設     
▸これまでに認証を取得した施設の取り組み紹介-大正硝子 
└大正硝子 宇宙(SORA)
└大正硝子びーどろ館
└大正硝子かんざし屋



2026年7月9日(木)、昨年と同じく 小樽芸術村 旧三井銀行小樽支店を会場に、「令和8年 小樽おもてなし認証 認証式」が開催されました。

制度創設以来、3回目の認証式には、5社7施設の皆様のほか、初年度、2年度目の認証施設からも出席者が。

小樽市の迫 俊哉 市長の他、多数の参加者が見守る厳かな雰囲気のなか、小樽おもてなし認証推進協議会 米山副会長から、認証状が手渡されました。

冒頭、米山副会長から挨拶があり、「皆様にとっては、今日がスタート地点。小樽全体の観光の質を高めるために一緒に頑張ってほしい」とエールが送られ、迫市長からは「自身のまちづくりのテーマが“選ばれるまち”。

また小樽に来てみたいと思う気持ちの背景には、おもてなしがある。小樽市としても、おもてなし力向上をしっかり支えていきたい」とのご挨拶がありました。



●令和8年 小樽おもてなし認証 取得施設

株式会社新倉屋 新倉屋 花園本店
株式会社新倉屋 新倉屋 駅前店
株式会社新倉屋 新倉屋 総本舗
株式会社北洋銀行 北洋銀行 小樽中央支店
株式会社小樽観光振興公社 小樽海上観光船
一般社団法人小樽観光協会 小樽運河観光案内所
株式会社パーク・オタルチッコウ・オペレーションズ グランドパーク小樽

認証状を受け取った各施設の代表からも、喜びの声が。

特に、金融機関初の認証となった北洋銀行の高原 竜治支店長からは、「喜ばしく、安心もしています。北洋銀行もサービス業。これからも、おもてなしの質を高めていきます」との言葉が聞かれました。

最後に、運営審査委員会の濱田委員長からは、「認証施設の皆さんが、相互に取り組みを聞くことで、小樽全体のおもてなし向上に繋がる。ぜひ、(認証施設対象の)フィードバックセミナーで交流してほしい」と話し、さらに「制度は、まだまだ成長途中。来年は初年度施設の更新の時になります。オール小樽で、業種を超えて盛り上がっていきましょう!」と述べ、式を締めくくりました。

第二部「おもてなし力向上セミナー」では、NPO法人日本ホスピタリティ推進協会 特任講師であり、株式会社MS&Consultingリレーション事業本部マネージャーの角 俊英 先生から「価値ある時間とおもてなし」と題し、ご講演をいただきました。

講演はサービスとホスピタリティの違いに始まり、これからの時代においては、CS(顧客満足度)ではなく、CX(顧客体験価値)を高めることで差別化できること。

さらには、CXがES(従業員満足度)へと繋がり、「あそこで働きたいと思われる企業・店」となること、その状態がお客様の居心地の良さや、さらなる満足度を生み出していくとのお話がありました。 

「旧来のもてなしはマニュアルに基づく丁寧な所作だったが、これからのもてなしは相手の状況を読み取り、文脈に応じて自発的に動く力になる」との話もあり、AI時代だからこそ「人間力が大切です」との講演内容に、今年度認証施設の皆様はもとより、初年度・2年度に認証を取得した企業の方々も、熱心にメモを取り聞き入っていました。





「大正硝子宇宙(SORA)」は、スタッフが「堺町通り商店街の科学館みたいな存在です」と紹介するのも頷けるほど、地球や月などの惑星や銀河といった、宇宙を感じさせる幻想的なガラス作品を販売するショップです。

そんなSORAで店舗責任者を務める矢城さんは、「商品の魅力はもちろん大事ですが、どんな人から買ったという印象が大事だと思っています。

あそこの店員さん、面白かったよねと言ってもらえたら嬉しいです」と話します。そのような接客をするには、まず、お客さまをしっかり「観察」することが重要だそう。

お客さまはどんな服装か、どんな商品を見ているのか…朝に来て夕方また戻ってくる方もいる…そんな観察の積み重ねから、お客さまが求めている商品やサービスを「推察」してやり取りをするそうです。

「数年前、アメリカから来たお客さまと、会話が盛り上がったんです。その男性がまた店に寄ってくれて、僕を覚えていてくれたんです。本当に嬉しくて、一緒にご飯まで行っちゃいました!」と笑う矢城さん。

自分が韓国に行った時のネタを、韓国のお客さまに話したり、テレビで見た各県の情報を伝えてその地域から来たお客さまと盛り上がったり…。小さな情報でも大切にして、日々、お客さまと会話を楽しんでいるそうです。

そんなやり取りがあるからこそ、ただの「ショップ店員」ではなく「SORAのあの人」としっかり覚えてもらえるのでしょう。

そんなお客さまとの会話を重視する「SORA」では、「POPに深く書きすぎない」工夫をしているのだとか。

「全部の情報をPOPに書くと、お客さまとの会話が減ってしまいます。だからPOPには必要最低限の情報を載せるだけにして、あとは会話で付加価値を付け加えるようにしているんです」とのこと。

「じつはこの商品、〇〇のテレビで紹介されたんですよ」など、お客さまと会話をするきっかけをつくるために、POPから工夫していると聞き驚きました。

また、昨年からは新卒入社のスタッフに向けて「おもてなしのヒント」を作り、日々目に入るところに掲示しています。「これをして、あれをして・・・というものではなく、自分がやってもらって嬉しいことをやってみようというのがおもてなしだと思っています。

最初は慣れないこともあるけれど、経験を重ねていくとおもてなしが楽しくなっていき、レベルもアップしていく。スタッフにはそんな経験をどんどん味わってほしいです」と矢城さん。

その想いや理念は、毎日の朝礼でも伝えているそうです。

数百円の小物から数十万のアート作品、さらに一番高価な作品だと200万円を超える商品も販売しているSORA。

「パッとお店に入って来たお客さまにとって、20万円の商品はそれなりの付加価値がないと買ってくれません。押し売りではなく、お客さまが“これ欲しい‼”と思ってもらえるよう、これからも会話によるおもてなしを続けていきます」と語る矢城さん。

もっといろんな方とも話したい!と英語も勉強中だそうですよ。

SORAは、おもてなしへの取り組みが、スタッフのモチベーションUPにもしっかり繋がっている素敵な店舗でした。



「びーどろ館は特に若いスタッフが多いんです!」と話すスタッフの近藤さんは、現在25歳。もう1つのびーどろ館の特徴は商品の多さで、約2000種類のガラス製品が並んでいるのだとか。

修学旅行生からご年配までお客さまの対象も広いため、それぞれに合った対応を心掛けているそうです。

たとえば、店舗のドア。古い石倉を活用した店舗のため、入口のドアはがっしりとした木製です。

「高齢の方にとっては重いドアなので、開閉のお手伝いに行きます。段差もあるので、車いすやベビーカーのお客さまが入るときにもお手伝いをしています」とのこと。

そのためにも普段から「観察」を大切にしており、小さなお子さんが商品を見ていたら、目線を合わせるためにかがんで話しているそうです。

冬の時期は外国人観光客が増えるため、英語が得意じゃなくても、ジェスチャーを交えて一生懸命に伝えようとします。

流暢じゃなくてもお客さまと同じ時間を共有したいと思っているし、その方がより気さくさや親しみやすさを感じてもらえると思うんです。そして、苦労して伝わった!分かり合えた!となった時の喜びはひとしおです」と笑顔で話してくれました。

さらにびーどろ館では、「お客さまとの思い出を書こう」という取り組みを行っています。

「たとえば僕の場合、外国人の男性がガラスの兜を選んでいた時に、緑色と黒のどちらがいいか聞かれたんです。黒のほうが値段は高かったので、店としては黒い兜が売れたほうがいいのかもしれません。でも、“僕は緑色が好き”と自分の想いを伝えたら、“僕も緑色が好きなんだ!”と喜んで緑色の兜を購入してくれました!」と目を輝かせて話す近藤さん。

お客さまから「どう思う?」と聞かれることも多いそうで、そんな時はどんどん自分の主観でオススメしていこうと他のスタッフにも伝えているそうです。

日々のコミュニケーションで、スタッフ間の情報共有も欠かしません。

「それぞれの得意なところが違うので、自分ができないところは助けてもらっています。びーどろ館のチームワークの良さは、社内でも一番だと思っています!」と話す近藤さん。

おもてなしに取り組むことでチームワークが良くなり、チームワークが良いからこそ、さらにおもてなしが良くなっていく・・・。

びーどろ館の話を聞きながら、働く人を元気にさせる「おもてなしの力」をさらに実感することができました。



着物を着る時につけるかんざしの専門店が、「大正硝子かんざし屋」です。

「かんざしは1本でヘアゴム無しでも止まります。着物を着られる方はもちろん、外国の方にも人気なんですよ」と語るのはスタッフの田向さん。

「自由につけてもらえるように練習用のかんざしは用意していますが、お困りの時に声をかけるなど、お客さまとの距離感とタイミングを大切にしています」と話してくれました。

田向さんいわく、「自分もここで働くまで、かんざしを使ったことがありませんでした。説明書もあるのですが、文章ではわかりづらい表現もあるので、実際にマネキンの髪を使ってやり方を見せながらお伝えしています」とのこと。

最初は「やり方だけ見せてほしい」と言っていたお客さまも、自分の髪でやってみると「できたから買っていくわ!」とご購入に繋がるそうです。外国人の方にも、身ぶり手ぶりでつけ方をお伝えしているそうですよ。

そんな「かんざし屋」ですが、じつは覆面調査の結果で、挨拶が聞こえなかったと指摘がありました。「言っているつもりでも聞こえていなかったようです。スタッフみんなで、声が聞こえづらかったのかもしれないと話し合い、改めて挨拶を大事にしようと意識するようになりました」と話してくれました。

小樽おもてなし認証取得にかかる覆面調査を通して客観的な評価を得たことで、「やっているつもり」が「そうではなかった」ことに気づくことができて良かったと語ります。

専門店ということもあり、店内にはたくさんの種類があるので、「着るお着物の写真を見せてもらいながら、着物の色に合うものをアドバイスすることもあります。また、うちの特徴である“着せ替えかんざし”は気分によって飾りのとんぼ玉部分を付け替えられるのでオススメすることが多いです」と教えてくれました。

さらに、「洋服でも使えますよ」とお声がけすることで、着物を着ない方でもつけてくれたり、お友達同士で気軽に選んでいかれたりすることもあるそう。

髪もハーフアップ(上の髪の毛だけをまとめ、下の髪は下ろしたままにするヘアスタイル)でも使えますとお伝えしているそうです。こうやって、少しずつ気軽にかんざしを楽しむ輪が広がっていくのが嬉しいと話す田向さん。

「札幌の街中で、海外の方が当店のかんざしをつけてくれているのを見た時は、とても嬉しかったです」と笑顔で語ってくれました。

かんざしという日本の文化をより多くの方に楽しんでもらうためにも、日本版ホスピタリティの「おもてなし」は欠かせないという想いで日々お客さまと接しているそうです。




令和8年認証取得施設のおもてなしの取り組みについては、今後、サイト内や北海道新聞・小樽後志欄の連載記事「小樽おもてなしの現場から」でもご紹介していきます。ぜひ、小樽のおもてなしにご注目ください!



ライター 田口 智子

1974年札幌生まれ。1996年に小樽市職員。観光振興室勤務などを経て、2007年にFMおたるに入社。2023年11月からフリーのパーソナリティー、ライターとして活動している。小樽の街歩きガイドブック『小樽さんぽ』『小樽さんぽ2』『とっておき!小樽さんぽ』などの著書がある。



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