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そろそろ小樽も冬本番。
外の寒さは正直こたえるけれど、雪道の散歩はそれ以上に楽しい。雪化粧した小樽の通りは夏よりもっと綺麗に見えるのだ。
そんな、個人的にはアツい季節である冬号・おたるのほそ道のテーマは『入船通り』。
王道観光スポット堺町に隣り合っていながら、病院ありスーパーマーケットありと市民の生活圏にもほど近い。
観光とローカルの間にあるこの通りは面白いんじゃないか!?と目をつけたのだ。
今回訪問したお店(リンクで移動できます)
1.本場以上!?超本格派イタリアン|ベリーベリーストロベリー
2.国を超え時代も超えて、愛され続ける喫茶店|時代屋
3.思いがめぐる 素敵なキッチン|キッチンぐるぐる
国を超え時代も超えて、愛され続ける喫茶店
ベリーベリーストロベリーさんのすぐ隣にあるのが続いてご紹介するお店。
『時代屋』さんだ。
外から見ると少しアメリカンチックな装飾が特徴的。

お話をしていただいたのは小樽出身の甲谷京子さん。1985年からお店をされている、びっくりするほど働き者な店主さんだ。
「このビルを建てるってなったときに喫茶店を入れようって話が立って…
私は元々手宮でお店をやろうと思ってたんだけど、お店やらないですかって言われてね。
その頃この辺りは問屋街で、商売になるかどうかってのは分からなくてちょっと悩んだんだけど、ここで始めました」

「朝早くから喫茶店を開けて、問屋街で働いてる人たちがモーニング食べに来たりランチしたりしててね。
当時は花園でレストスナックもやっていたから、朝こっちに来たお客さんが夜花園でも飲みにくれたりしたこともあったね」
「昔ってね、コーヒーを飲むところ、お酒を飲むところ、料理を食べるところ。ぜんぶ分かれてたの。
みんな一軒では済まずにいろんなお店をハシゴして…それが粋だったの」

40年もお店をされていると通りの風景も随分と変わってきたんじゃないでしょうか。
「いまのオルゴール堂が昔、家具屋さんだったときにはよく出前に行きましたよ。
こっちでインスタントじゃないちゃんとしたコーヒーを淹れて、冷めないうちにボトルとカップを持っていってね。
そういう時代だったね」
「バブルの頃はね、地方からのお客さんはほとんど朝里とか定山渓に泊まって、みんな浴衣のままタクシーでやって来てね。
堺町も夜までやってたから、いろんな浴衣を着た人たちが散策したりお酒飲んだりしてたね」
「うちも堺町で働いてる人たちが来るもんだから…11時、12時くらいまでやってたの。
観光地になりたてで元気な若者がいっぱいいたから、話し込んじゃったら何時になるんだろうって(笑)」



店内は異国情緒あふれる雰囲気。
目を引くのはあちらこちらに飾られたカメラ、着物、グラス、雑貨などなど。和風・洋風ジャンルを問わずに所狭しと並んでいる様子は、まるでちょっとした博物館のようだ。
「この辺のものは全部お客さんがプレゼントしてれたんです」
特に目立つのは奥に見える大きな提灯。なんとこれも贈り物なのだそう。
「最初は毎日表に飾ってたんだけど重たくて支えがとれちゃって落っこっちゃったの。壊れるのも嫌だしやっぱり中の方が良いかなって」
冷蔵庫にはいろんな国のお金がびっちり!

「私海外旅行が好きで何度も行っててね、小銭の余った分を冷蔵庫に貼ってたんです。
その前は日本の古いお金を貼ってたんだけど、日本のお金は盗まれちゃってね!だめだこりゃって」
「それで海外のお金だけ貼ってたら外国の方が自分たちのお金を貼るようになったの。
何かやっぱり嬉しいんだろうね。自分の国だ~って喜んでたり、それで話しできたりしてね」

ちなみに時代屋って名前にはどういう意味があるんですか?
「小説でね『時代屋の女房』っていうのがあったんですよ。映画にもなってすごいヒットしてね。
元々は骨董品屋さんって設定だったんだけど、ラーメン屋とかイタリアンとかいろんな時代屋ってお店が日本中にできたの」
「そしたらあまりにも多いからって本家が特許を取ってね。うちはそれよりも古かったから日本中の時代屋さんから相談の電話が来たの。
そのときに気になって調べてみたら全国に165店舗も時代屋があったんです」
「だから私ね、地方から来たお客さんには必ず『時代屋ってお店はあるかい?』って聞くの。
まだ何十店舗かは残ってると思うんだけどね」
なんて気になるエピソード!
小樽以外に住んでいる皆さん。
あなたの街にも時代屋さんがあったなら、ぜひ小樽の時代屋さんまで。

個人的にはこちらの手作りメニューも大注目。よく見てみると韓国語と中国語でも書かれている。
実は新しいメニューブックを作成中なのだそう。写真のメニューがまだ残っていたらラッキーかも!

後日訪ねてみたら新しくなっていました。表紙の絵がとってもかわいい。
やっぱり海外の方もたくさん来るんですか?
「海外のお客さんは7割くらいかな。
昔はみんな雑誌を持って歩いてたけど今はネットの情報がいっぱいあるから、どこからか調べてきて、これください!みたいなね」
「人気なのはあんかけ焼きそば、オムビーフ、あと意外と出るのはおにぎり定食かな。
特にあんかけ焼きそばは外国のお客さんでも一家族に1人、2人は必ず頼むって言ってもいいくらい!
エビは大きいのを使って出汁を活かして、オイスターソースも自分でオリジナルのを作って…この味にしてから爆発的に頼む人も増えたね」

時代の移り変わりの中でもひたむきに働き続けてきた甲谷さん。
その姿勢が今の時代屋を作っているのだろう。
「ここの場所だってね、今みたいにお客さん来てくれるようになるまでに40年間かかったよ。定休日を絶対作らないって決めて、お客さん来なくても開いてるようにして」
「うちは海外の常連さんもいるからね。
せっかく遠くから来てくれるから。どっかで暇な時期ほしいなとは思うけど…店が開いてて当たり前だからね。
なんとか今のところは続けられるなら続けようと思ってるね」
長年愛されてきた憩いの場、その場所を守ってきたのはめちゃくちゃかっこいい仕事人でした。
ぜひ一度は行ってみて。

時代屋
小樽市入船1-2-28
TEL:0134-29-0282
営業時間 11:00 ~ 21:00 不定休
食べログ
https://tabelog.com/hokkaido/A0106/A010601/1020606/dtlrvwlst/?type=0

小樽通編集部 小竹多聞
広島生まれ愛知育ち。
北海道の雪は好きだけど寒さには弱い。小樽での楽しみは行きたい店リストをコンプリートすること(159軒/268軒)
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