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そろそろ小樽も冬本番。
外の寒さは正直こたえるけれど、雪道の散歩はそれ以上に楽しい。雪化粧した小樽の通りは夏よりもっと綺麗に見えるのだ。
そんな、個人的にはアツい季節である冬号・おたるのほそ道のテーマは『入船通り』。
王道観光スポット堺町に隣り合っていながら、病院ありスーパーマーケットありと市民の生活圏にもほど近い。
観光とローカルの間にあるこの通りは面白いんじゃないか!?と目をつけたのだ。
ということで、まずは小樽市総合博物館に入船通りがどんな通りなのか聞きに行ってみると
「入船通りのことを書くのは難しいと思いますよ。とても一言では表現しきれない」
まさかの言葉。
聞いてみると入船通り、すなわち入船はその時代によって街の姿が全然違っているのだそう。
さらに、入船通りの地下には『入船川』という河川が現在でも流れていて、暗渠化という工事をすることで川の上に橋をかけるような形で道ができたという。
川に沿って延びているので、花園や色内といった小樽の他の地区と比べて細長く広がっていることも特徴。
地理的な要因もあって、同じ入船という地名でも場所によって表情や役割が大きく異なってきたのだ。
通りの遍歴はちょっと説明できそうにないけれど、せっかくなので地図を見比べるくらいはやってみよう。
赤丸で記したところが現代のオルゴール堂があるあたりだ。
どれも小樽市総合博物館所蔵。

明治初年(1868年)の入船通り。
北前船が来航した頃。まだ建物も道もほとんどできていない。入船通りと呼ぶにはさすがに早すぎるか。

明治24年(1891年)の入船通り。
建物ができてきたが上流の方はまだまだ未開発。他の地図と揃えるために向きをちょっと変えています。

大正14年(1925年)の入船通り。
小樽運河が完成した直後。上流もけっこう開発されてきているように見えるが、まだ暗渠化はされていないので現代の入船通りともはっきりと異なる。
ちなみに『入船』という地名は昔の地図を見るとわかるとおり、オルゴール堂のあたりに船着き場があったことに由来するんだとか。
「船が入ってくる場所なので、入船」
そのまんまだ。
もっと詳しい部分が気になる人は小樽市総合博物館に出かけてみよう。
そんな、時代と共に様相を変えてきた入船通りの『いま』を覗いてきました。
今回訪問したお店(リンクで移動できます)
1.本場以上!?超本格派イタリアン|ベリーベリーストロベリー
2.国を超え時代も超えて、愛され続ける喫茶店|時代屋
3.思いがめぐる 素敵なキッチン|キッチンぐるぐる
本場以上!?超本格派イタリアン|ベリーベリーストロベリー
オルゴール堂のある交差点から、山側へと歩いていこう。
通りを歩き始めてすぐに最初のお店が見えてきた。
趣のあるレンガの壁がトレードマークの『ベリーベリーストロベリー』さん。
今年で32年目のイタリア料理店だ。

「前は東京でフレンチやイタリアンをやっていたんですけど、イタリアと同じこのレンガ造りがすごく気に入って。
絶対この建物で店をやりたいなって思ったんです」
そう話すのはオーナーシェフの伊藤孝さん。
イタリア料理の奥深さに魅せられた生粋のイタリア料理好き。あとワインも大好き。

「イタリアで何十年も、端から端まで食べ歩きをしてきて、この地方のこれは美味しいな!って自分が食べたくなったものをメニューにしています」
「日本と同じでイタリアでも地域によってパスタとか料理が違うんです。
今の季節はミラノとかベネチアとか北部の料理が多いんですけど、夏はシチリアとかカンパーニアとか南部の料理を出していますね」
1ヶ月お店に来ないとメニューが全然変わっている、ということもあるという。

それだけ頻繁に変えていると準備も大変じゃないですか?と聞くと、
「いやいや!好きだからついついやり過ぎちゃうんです」
「昔は今よりも簡単めな料理も作っていたんですけど、自分でも食べたいし、料理が好きだから我慢できなくなっちゃって…。
もっと良いものを使って手間も惜しまない、本格的なイタリア料理を出そうと路線変更したんです」
「料理で喜んでもらえるように、情熱と時間を最大限、徹底的に使って作ってます」
こだわりの料理をぜひいただきたい!と、メニューを見てみると全然聞いたことのない名前がずらり。

ラビオリ…?
アニョロッティ…??
「アニョロッティはラビオリっていうパスタのひとつです。ラビオリは具を包んで食べる種類のパスタで、包み方によって呼び方が変わるんです」
「うちのアニョロッティは仔牛の煮込みを包んでいて、ラビオリの中では一番人気ですね。
作るのにかなり手間がかかっているので他の店でやっているところはほとんどないと思います」
一番人気という言葉には弱いので、ではそれでお願いします!
さらにおすすめをいくつかいただく。
未知の料理の中からメニューを決めるのは本当の海外に来ているようで、この時点でもうわくわくしてきた。

まずは『道産仔牛のアニョロッティ』がやってきた。コロコロと盛り付けられているのが一口サイズのアニョロッティ。
どんな味なのかと食べてみると…
肉!!!
見た目からは想像もつかないほどの肉々しさ!
中身の仔牛はホロホロ、じゅわっと広がって口の中が一気に幸せモードだ。上にふりかけられたチーズの香りもかなり強いが全然くどくない。パスタ生地も滑らかで歯切れよくて、食べていてとても心地良い。

続いてはピザが登場。
『ンドゥイア・カラブリア』、こちらも不思議な名前だ。
「ンドゥイアは発酵させたサラミで、辛くてコクがものすごいんです。ナポリに行けば必ずおいてあるような、いわば定番料理ですね」
さっそく一切れ。ん~!これもおいしい!
一切れが大きいので食べるのに3口くらいかかるが、この3口の間がとっても表情豊か。
1口目、軽さのあるモッツァレラチーズとガツンとしたサラミの旨味。
2口目、上品な辛さが後からクワっとやってくる。
3口目、ピザ生地は小麦の香りと香ばしさがしっかり感じられてふんわりとした素朴なおいしさ。
一切れごとに3度の味わいの楽しくなるピザでした。

最後はデザートの『レモンタルト』
これが本当に衝撃だった!
「食べた瞬間に口の中に~」というフレーズはよく聞くけれども、ここまで瞬間の「瞬」を感じた料理は食べたことがない。
固めのタルトをナイフで切って、口に運んで…
舌に!触れた!
まさにその瞬間!!
剥き身のレモンを丸ごと投げこまれたのかと思うほどの味と香りとみずみずしさが一気に大爆発!!!
あまりにも急すぎて「何!?今何食べた!?」と混乱するレベル。
レモンの濃厚さもかな~り強烈。
「1ホールにレモンは4個使っています。果汁から皮まで全部使って濃厚さを高められる限界までいってます」
個人的「このタルトがすごい!2025」の大賞間違いなしな一皿。
絶対食べてほしい。
今回は3品をいただいて、どれもおいしくも初めて経験する味ばかりで驚きの連続だった。
「お客さんには、食事の時間を楽しんでもらえたら嬉しいなって思いながら毎日やっています。
テーブルをみんなで囲んで料理に驚いたり、感動したりして会話も弾む…そんな風に過ごしてもらえるのが一番嬉しいですね」
飛行機に乗らなくても本場の味を楽しめる、超本格派イタリアン。
未知の美食に心惹かれたのならプチ旅行気分で訪れてみて。

ベリーベリーストロベリー
小樽市入船1-2-29
TEL:0134-23-0896
営業時間:ランチ 11:30~15:00、ディナー(平日・祝前) 18:00~21:00 (L.O.20:00)、(土・日・祝・祝前)17:30~21:00 (L.O.20:00)
定休日 無休(12月31日、1月1日は休業)
ヒトサラ https://hitosara.com/0004007981/

小樽通編集部 小竹多聞
広島生まれ愛知育ち。
北海道の雪は好きだけど寒さには弱い。小樽での楽しみは行きたい店リストをコンプリートすること(159軒/268軒)
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