project
秋。
灼熱の夏をなんとか乗り切り、もっと過酷な冬が始まるにはまだちょっと先。
短くも心穏やかに過ごせる季節がやってきました。
10月、11月の3連休には秋の北海道旅行を!なんて計画中のひともいるのではないでしょうか。
旅行でやっぱり気になるのは宿選び。
贅沢にちょっと高級なところも良いですし、予算を抑えてあえてのビジネスホテルなんてのもあります。
でもなんだかんだで使い慣れたところを選びがちな宿泊先。
せっかくの旅行なんだから、ちょっと冒険してみるのはいかがでしょう。
そう、この記事のテーマは「ゲストハウス」!
ベッド単位で予約して他の宿泊者と相部屋になるタイプの宿です。
施設内の多くのスペースが共用になっており、他の宿泊者との距離が近いことが特徴です。
実は小樽には素敵なホステル・ゲストハウスがたくさんあります。
それぞれに個性があり特別な思い出になること間違いなしです。
知らない人と同じ部屋ってどうなんだろう…
値段が安くて気になってはいたけど使ったことはない…
そんな風に感じている人にこそ小樽のゲストハウスをもっと知ってほしい!
泊まってほしい!
ということで実際に泊まってみました。
目次
1泊目 ビールを楽しみ世界は広がる『OTARU TAP ROOM CRAFT BEER & HOSTEL』
2泊目 バカモノたちが創るエンタメ空間『Tug-B Bar&Hostel』
3泊目 街に逢い 人を識る『旅人の家 舎(ヤマキチ)とまや』
2泊目 バカモノたちが創るエンタメ空間
小樽の飲み屋街として知られる花園。
賑やかな花銀通りを抜けて坂を進んでいくと、ちょうど上りが終わったあたりに次のお宿がありました。
『Tug-B Bar&Hostel』
1階はバー、2階がホステルになっているこちらのお宿。
実は、バーには何度か来ていたけれどホステルに泊まるのは今回が初めて。
チェックインからわくわくしています。

こちらが今夜のベッド。
左右が壁に囲まれた洞窟タイプ(勝手にそう呼んでいるだけ)なので、周りを気にすることなくくつろげそうです。

シャワールームや洗面台は数が多くて順番待ちになりにくそうで◎

バーではウェルカムドリンクがいただけちゃいます。
お酒に詳しくない人は好みを伝えればおすすめを作ってくれます。
もちろんノンアルコールも大丈夫。
ということで、お任せで!

オリジナルカクテルが出てきました。
その名も「洋梨のアレキサンダー」。
洋梨の香りがふんわり。
甘くてクリーミー、飲みやすくて美味しいです。
Tug-Bの社長である歌原大悟さんにお話を聞きました。
小樽商科大学出身の大悟さんは、在学中に起業してTug-Bを作ったツワモノです。

「実は、元々小樽に来るつもりは全然なくて東京でのかっこいいキャンパスライフに憧れてたんですよね。」
第一志望ではなかったという小樽での大学生活。
でも授業や日々の生活の中で小樽を知っていく内に、地域や人の魅力に引き込まれていったのだそう。
「面白い街だけど課題がいっぱいあって…そこに関わり代がいっぱいあるなって思ったんです」
小樽に来たからにはここでしかできないことをしたい。
大学3年生のとき合同会社PoRtaruを友人と設立し、新型コロナウイルスの煽りを受けながらも自分たちにできることは何か模索し続けました。
そして、ある構想が生まれてきます。
「よく使われる言葉で『地域活性化を担うのは若者・よそ者・馬鹿者だ』っていうのがあるんですけど…。
それを聞いたときに小樽は恵まれてるなって思ったんですよ。」
大学があるから「若者」はいる。
観光客もいっぱい来るから「よそ者」もいる。
「僕が馬鹿者だとしたらここには全部いるなって(笑)。」
地域活性化のトリガー、若者・よそ者・馬鹿者が集まる場所を作ろう。
これがTug-Bの始まりでした。

「実はTug-Bには裏テーマがあって…
たぶん誰も気に留めてないんですけど入口のネオンに書いてあるんです。」
それが、
『Unexpected encounters drive you,』
(未だ見ぬ出会いがあなたを動かす)
「僕らにとって一番重要なのは誰かを『動かす』ことなんです。」
「例えば僕が全然釣りに興味ないとして、友達に誘われて半ば無理やり釣りに行ったとするじゃないですか。
でもやってみると『あれ、意外と楽しいぞ?』ってなったりして…。
いつもの自分の毎日にいるだけじゃ気づけないような、ちょっとした出会いや偶発性
僕たちはそんな未知との出会いが起きる空間を作りたいと思ってるんです。」
そしてここにはそのための仕掛けがいくつも用意されています。
2階のホステルに共用ラウンジがないこともその一つ。
普段は全然バーには行かない人でも、くつろごうと思ったら1階まで下りてくるしかありません。
「ただ安かったから泊まったけど気付いたらお酒飲みながら知らない人と人生の話とかしちゃってるわ~!みたいな…
そういう空間ができたら嬉しいし、そこでみんなが気持ちよく楽しく過ごせるようにするのがバーテンダーの務めだと思ってます」

そんなTug-Bの自慢は何ですか?
大悟さんに聞いてみると、即答。
「人ですね!」
「海外とか知らない場所に行ったときってすごい心細いじゃないですか。
そんなときホステルって唯一お客さんがほっとできる場所で、面と向かって『ようこそ』って最初に言える立場なんですよ。」
お客さんが宿に着いたとき、心から歓迎されれば小樽はあたたかい街だと記憶に残ります。
でも反対に無愛想にされたら小樽は冷たく、よそ者に無関心な街としてお客さんの目に映ります。
「お客さんにとっての小樽の第一印象は自分たちが作っているんだって思いで働いているんで…。
接客、コミュニケーションの質はどこにも負けてないです!」

メンバーの一人、菊地悠太さんにもお話を聞きました。
小樽商科大学に通いながらアルバイトとして働いています。

「ひとと繋がりたい人、自分の世界を広げたいって人にはぜひTug-Bに来てほしいですね。
僕自身、働き始めてから今までは全く関係なかった世界の人たちと繋がってちょっと自分の考え方が変わったりもしたんです。」
「年齢や、出身や国がばらばらでも意外なところで話が合ったり共通点を見つけたり…。
そういう風に繋がりの輪が広がるのは楽しいし、僕たちバーテンダーもこの輪を作る一部だと思って仕事をしています。」
お話を聞いていてとても印象的に感じたことがありました。
それは悠太さんが自分のことをごく自然にバーテンダーと呼んでいたこと。
アルバイトでも、スタッフでもなく、「バーテンダー」です。
これは、大悟さんが話していた
「お客さんにとっての小樽の第一印象になり得る」ということが、悠太さん自身の中に芽生えているからこそ出た言葉なんじゃないでしょうか。
大悟さんが描くTug-Bのバーテンダーの目指すべき姿。
悠太さんはこのリアルな役割を楽しみつつも、誇りをもってバーに立っているように見えました。

ここまでの記事を読み返してみると、ほとんどインタビューのことしか書いていないことに気がつきました。
バーでどんな人と出会ったとか、
どんな時間を過ごしたとか、
まっったくと言っていいほど触れていませんが、そんな感想は無くたっていいでしょう!
だってここを訪れたならきっと何かが起こるのだから。
あなたも未だ見ぬ出会いに動かされに来てみては?

Tug-B Bar&Hostel
小樽市花園3丁目1-5
公式ホームページ:https://www.tug-b.com/
TIKTOK:https://www.tiktok.com/@bar_tugb
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小樽通編集部 小竹多聞
広島生まれ愛知育ち。
北海道の雪は好きだけど寒さには弱い。小樽での楽しみは行きたい店リストをコンプリートすること(158/265軒)
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