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※記事の内容は、配信時の情報に基づきます。 最新情報は、各施設へお問い合わせください。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、 休館していた「手宮洞窟保存館」が4月29日におよそ3年ぶりに開館します!
今回は、小樽市総合博物館の石川館長に手宮洞窟についてお話を伺いました。
大昔に小樽は世界と繋がっていた!?知れば知るほど興味がわく遺跡を見に行かなくっちゃ♪
国内でたった2カ所しかない!?手宮洞窟は貴重な遺跡
手宮洞窟はただの洞窟ではありません。
洞窟の中には、今からおよそ1,500~1,600年前頃の続縄文時代に刻まれた陰刻があり、国指定史跡になっています。なんと、国内でこのような洞窟があるのは、お隣の余市町にあるフゴッペ洞窟とここだけ!あとは、海外に行かないとありません。このようなとっても貴重な洞窟遺跡が小樽にあるなんてすごい!
※国内には、高松塚古墳など洞窟ではないもので壁画や陰刻がある遺跡はあります。
海外だと、ロシア・中国・朝鮮半島など日本海を取り囲む地域には同じような陰刻が発見されています。このことから、この地域には壁面に線を刻み込む文化があり、続縄文時代に日本海をはさんで人が行き来し、交流していたと考えられているんです。
手宮洞窟保存館ってこんなところ
そんな貴重な遺跡を保存しているのが「手宮洞窟保存館」です。
空気が動くことで生じる乾燥によって陰刻面が剥がれ落ちないようカプセルで大事に保存しています。
今年の開館から、バージョンアップした保存館が見学できます!
●照明が明るくなり、陰刻面が見やすくなりました
●動画をなくし、説明パネルが増えました
手宮洞窟保存館
小樽市手宮1丁目3番6号
公開時間:9時30分〜17時
休館日:火曜日
(祝日の場合開館、翌日以降の最も近い平日に振り替え)
冬期休館:11月4日〜2024年4月28日
駐車場:小樽市総合博物館本館の駐車場を利用
TEL: 0134-33-2523
ホームページ
はたして壁に描かれているものとは!
手宮洞窟保存館まで足を伸ばすことができない方は、小樽市総合博物館の運河館へ!実寸大のレプリカがあり、間近で見ることができます。
手宮洞窟には、「角のある人」など人型の線や、角のある四足動物など興味深いものが描かれています。かつてはこれを文字だと考える人もいました。
同じような陰刻がいくつか発見されたアムール川では、猟期のシーズン前にそれぞれの同族が、それぞれのお祈りの場所で人型の模様を描き、たくさん獲れますように、安全に猟期が過ごせますようにというお祈りをしていました。そのたびに空いている所に線を刻み、それが長年積み重なって一つの遺跡になったと考えられています。
このことから、手宮洞窟やフゴッペ洞窟でも同じように行われていたと考えられています。
石川館長に聞く、手宮洞窟のココが面白い!
日本の考古学が色々とブームになっていますが、その先駆けになったのが手宮洞窟なんです。
研究者の人たちが研究対象にする遺跡は明治の初め頃から日本全国にたくさんありますが、一般の人たちが自分たちの街にはこんな遺跡があると認識したのはおそらく手宮洞窟が一番最初。
なぜかというと、大正時代にお菓子を作っているんです。
大正時代に広島大学の先生が書いた手宮洞窟の本が「古代文字」という言い方の発祥になり、「古代文字」というお菓子が小樽で作られ、それが商標登録の関係で3つのお店が裁判沙汰になるくらい人気が出ました。
今となっては遺跡が発掘されてニュースなったらそれが商品になったりグッズになったりしますが、それが大正時代から行われているというのは調べたらほとんどありません。
専門家の解釈がないとよくわからない遺跡を、大正の小樽市民はすごく愛したし、そこに商品性を見出しました。
そういった意味では、日本の遺跡保護と、遺跡の活用の面では最先端の場所だったのが小樽だったと思います。
古代文字というお菓子はお店が閉まってしまったので今はもうありませんが、水晶堂さんが「手宮洞窟」というお菓子を作っています。
石川館長、手宮洞窟の面白いお話ありがとうございました!
■水晶堂のお菓子「手宮洞窟」について
お菓子に名前を付ける際に先代が、小樽にあるもので名前を付けたのではないかと現在の店主は語ります。
他にも水晶堂さんには小樽にちなんだ名前のお菓子がありました。
水昌堂
小樽市花園3丁目3-2(GoogleMap)
TEL: 0134-22-2894