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【月刊小樽自身2022年12月号】貴重な資料が小樽に集合!工芸展「アトゥイ・海と奏でるアイヌ文化」@小樽市総合博物館

2022.11.25

※記事の内容は、配信時の情報に基づきます。 最新情報は、各施設へお問い合わせください。


小樽市制100周年記念事業でもある令和4年度アイヌ工芸品展「アトゥイー海と奏でるアイヌ文化」が、12月3日(土)より小樽市総合博物館本館にて開催されます。

ポスターのメインビジュアルは「サメの歯がついた冠」
(市立函館博物館所蔵)の写真。
深海のような神秘的な雰囲気を感じます。

小樽市総合博物館に、小樽も含めた各地のアイヌ文化に関わる貴重な資料が集まる注目の特別展です!
展示スペースは、なんと普段の企画展の2倍以上。エントランスホールには、〇〇ランドもお目見え!!

エントランスでの作業風景。ここに〇〇ランドが出来る…⁉
写真下部には海獣たちのはく製が見えますね。

タイトルにある「アトゥイ」とはアイヌ語で「海」を意味する言葉で、展示では海とアイヌ文化のつながりをテーマとしています。
多くの民具資料の他、小樽とも関係の深い石川県や富山県など北陸地方にある工芸品なども紹介し、海とアイヌ文化のかかわりを知ることができます。

貴重な資料の数々が集まる注目の特別展について、担当学芸員の菅原さんに聞いてみました!



テーマについて教えてください!

今回のテーマの中心でもある「海」。どうして海とアイヌ文化のつながりがテーマとなったのでしょうか?

(菅原さん)まず、これまで、北方世界における「海」とアイヌ文化との関係に特化したこれほど大規模な展示会は、企画されたことがありません。「ないから、やってみる!」というのも理由ですが、背景としては、アイヌ文化における「海」の位置づけについて、これまであまり注目されていないことがあります。

大きなトドちゃん!これもアイヌ文化とかかわりがある「海」の資料。

(菅原さん)今後、この展示会をきっかけとして、このようなテーマに関心をもっていただければ嬉しいです。そして何より、アイヌ民族は「海」を通して、周辺の人たちと交易・交渉を行って豊かに文化を発展させてきたことがまぎれもない事実です。



沢山の資料を集めるにあたり、大変だったことは?

今回の展示では、20以上の施設から200点近い資料を集められたとのこと。膨大な資料を集めた際に、大変なことはありましたか?

(菅原さん)各地の博物館・資料館にどのような資料があるのか調べることはいうまでもないですが、各資料の状態の確認も兼ねて、いろいろな施設へと調査で回ったことですかね。
さらに、図録用の写真撮影と、実際に展示に向けて借用でまわるという大まかに3回は、各施設を訪問しました(今後返却もあわせると4回になります)。このように、各施設の担当者の方に何度も御協力・御配意をいただいた賜物の展示会になります。

はるばる金沢からやってきた資料たち。トラック3台で搬入されました。

広い展示室に置かれる、新たに造作される展示ケースと開封前の資料。
ものすごい量です。



図録について教えてください!

200ページにも及ぶ、フルカラーの展示品の図録も販売予定とのこと!どのようなものなのか教えてください。

(菅原さん)展示会をそのまま、瞬間冷凍したような本です。それに加え、展示ではみられない第一線の専門家の先生たちによる豊富なコラム(展示資料に関係した内容)で構成されています。他にもアイヌ民族と海に関する物語(口承文芸)や、実際のレポートを通して、今を生きるアイヌ民族と海とのかかわりを紹介した項目もあり、見どころ満載です。

(菅原さん)そして、写真家に撮影していただいた資料写真が本当に美しいです。フルカラーという贅沢な作りになっていますが、ただ写真を眺めているだけでも、わくわくするようなものに仕上がっています。すぐに売り切れると思いますので、お早めにお買い求めください



アトゥイー海と奏でるアイヌ文化
2022年12月3日(土)~2023年3月5日(日)
会場:小樽市総合博物館本館(小樽市手宮 1-3-6)
TEL:0134-33-2523
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関連企画

特別展に合わせて開催されるイベントもチェック!会場はいずれも小樽市総合博物館本館です。
※予約は先着順。小樽市総合博物館本館(TEL:0134-33-2523)へ。

アイヌ伝統舞踊公演「白糠のフンペリㇺセ(クジラの踊り)」
北海道白糠町におけるアイヌ民族の伝統的なクジラの踊りを紹介します。
12月18日(日)17:00~18:00
講師:白糠アイヌ保存会
定員:50人(予約は12月1日(木)~)



ワークショップ「アザラシ捕獲大作戦!!」
アイヌ民族が使用する在来的な漁具でアザラシ(人形)の捕獲に挑戦します!1月7日(土)14:00~15:00
定員:20人(予約は12月1日(木)~)



アイヌ工芸品展とチャレンジ(コ)ラボ「ミニ水族館作り」
アイヌ文化と海のかかわりの紹介や海の生き物(マスコット)がなど入った小さな置物を作ります。
1月14日(土)14:00~15:00
定員:6組(予約は1月4日(水)~)



博物館ゼミナール 小樽学「海獣たちとアイヌ民族」
2月12日(日)19日(日)26日(日)各日13:30~15:00
【12日】「北方諸民族の海獣狩猟文化におけるアイヌ民族の位置づけ」渡部裕氏(元北海道立北方民族博物館学芸主幹)
【19日】「水族館飼育員が語る・海獣たちと祝津の海の魅力」徳山航氏(おたる水族館飼育員)
【26日】「令和4年度アイヌ工芸品展のハイライトー海獣モチーフを中心に」菅原慶郎氏(小樽市総合博物館学芸員)
定員:各回40人(予約は2月1日(水)~)