観光協会からのお知らせ
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小樽の街を歩けば、どこからか漂う香ばしい匂いや、美しい寿司の輝きに出会います。その中心にあるのは、かつてこの街の歴史を創り、今もなお代名詞であり続ける「鰊(ニシン)」です。
2月中旬から3月にかけての「群来(くき)」の時期はもちろん、一年を通してこれほど多彩な鰊料理を楽しめるのは、この街に鰊という食文化が深く根付いているからこそ。
今回は、その魅力を知り尽くした二つの名店、「小樽たけの寿司」さんと「青塚食堂」さんの店主にお話を伺いました。
”会話も美味しい”寿司職人が語る、ニシンの魅力とは|小樽たけの寿司

多くの観光客が行き交う堺町商店街にお店を構える、2013年創業のお寿司屋さん。 実はここ、大正初期に建てられた「旧中山倉庫宅」という歴史ある石蔵を活用したお店なんです。高い天井や大きな古時計があるレトロな空間は、いかにも小樽らしい雰囲気。
そんな情緒あふれる雰囲気ながら、北海道産食材にこだわった本格的な味を、お手ごろ価格で楽しめるのが魅力です。
店主の武田賢一さんは、気さくで温かいお人柄。 「本格的なお寿司を、肩肘張らずに楽しんでほしい」という思いが伝わってくるような、初めてでも不思議とホッとする空間が広がっています。

ただお寿司を提供するだけではなく、お店の「雰囲気」も大切にされている武田さん。
石蔵の歴史を感じながら、お酒と共にゆっくりと会話を楽しむ。そんな「大人の社交場」としての顔も持っています。
一方で、時代の変化に合わせた工夫も忘れていません。
最近では外国人観光客の方も多く訪れるため、注文にはタブレットを導入。
「歴史あるお店だし、注文が難しかったらどうしよう……」なんて心配は無用です。写真を見ながら自分のペースで選べるので、国内・海外のお客さまを問わず、このさりげない配慮が嬉しいですよね。
伝統的な空間を守りつつ、誰もが気兼ねなく美味しいお寿司を楽しめる。そんな「新旧の良さ」がミックスされているのが、たけの寿司さんが愛される理由かもしれません。

早速、ニシン料理を2品注文しました。
「さっぱり」なのに「とろける」|にしんのお刺身
お話を伺いながら、武田さんが目の前でニシンを捌き始めます。驚いたのは、その鮮やかな手さばき。
写真を撮ろうと思っていたら、既に器に大根のツマや大葉が用意されているほどの速さ。
(店主:武田さん)
「小樽の旬は終わってしまっているから、今日のニシンは網走産ですけど、いい色でしょう?このピンク色が、地元色というか、鮮度が良い証拠なんだよね。ほら、皮もこうして……意外と簡単に剥けるでしょう?実は秋口にかけても脂が乗ってきて美味しいんだよね。」

スルスルと剥がれていく皮の下から、脂の乗った美しい身が現れます。そしてここからが、たけの寿司さんの真骨頂。
(店主:武田さん)
「うちはもう、先に骨を抜いてるから。骨があると食べる時にガリガリ音がしちゃうけど、抜いてあればニシンの身の甘さだけを純粋に楽しめる。この『骨抜き』が、実は一番手間がかかって大変なんだけどね(笑)」

(店主:武田さん)
「小樽のニシンは1月から3月が旬で、その時期には熟成された数の子が入ってるので、脂の乗りというよりは身の歯ごたえが特徴だね。」

一口食べて驚くのが、その食感。
鮮度が良いため、身がシャキッとしていて弾力があります。それでいて、噛みしめるほどに適度な脂がしっとりと溶け出し、口いっぱいに上品な甘みが広がります。
さっぱりとした後味と、とろけるような脂のバランス。この絶妙なバランスは、まさに鮮度が命の「ニシンにしかない」特別な味わいです。
『鮮度の良い色』がのぞく職人の技|にしんの握り
他の魚にはない、ニシンの魅力とは?
(店主:武田さん)
「にしんの魅力? そうだね。ニシンってやっぱり結構最初評判悪いんですよ。でも見た目からは想像もつかないくらい、脂が乗っていて甘みがある。初めて食べる人はみんな『えっ、にしんってこんなに美味しかったの?』って、期待を裏切る美味しさに驚くんだよね。」

(店主:武田さん)
「あとは、やっぱり『数の子』だね。身だけでも十分だけど、そこに数の子のパキッとした黄色が入ると、一気に色合いが華やかで美しくなる。この色の組み合わせも、にしんだけの特別な美しさだね」

寿司職人として、譲れないことは?
(店主:武田さん)
「そうだね、やっぱり一番は『対面商売』を大切にすること。お寿司を握って、はい終わり、っていうのが嫌だったのでね。コミュニケーションを取りながら、お寿司も美味しかったけど、”会話も美味しいね”と言われるような。
だから、『お寿司が美味しかった』と言ってもらえるのはもちろんだけど、『あの寿司屋の親父に会いに行きたい』と言ってもらえるのが、職人として何より嬉しいし、これからも譲りたくない部分だね」

(店主:武田さん)
「ニシンに飾り包丁を入れるのは、単に見栄えを良くするためだけじゃないんだよ。包丁を入れることで、身の隙間から『鮮度の良い色』がのぞくでしょう。これが美味しいニシンの証なんだ」
時期によっても、その表情は変わると武田さんは言います。
「夏場から秋口にかけては、脂がしっかり乗ってきて身が白っぽくなってくる。その時期のニシンもまた、とろけるような味わいでおすすめだね」
カウンター越しに情熱的に語る武田さんは、まさに小樽の寿司文化を支えてきたベテラン職人です。「おたる巽鮨」で20年、そして今のお店で14年という、合わせて30年以上のキャリアをお持ちです。
実は、かつては教育旅行の取り組みにも携わっていて、地方へ小樽のPRに出向いたこともあるのだとか。お話を伺っている最中、随所に小樽への深い愛情、「小樽愛」がひしひしと伝わってきました。
▮小樽たけの寿司
住所:〒047-0027 北海道小樽市堺町2-22
TEL:0134-25-1505
営業時間:11:00~16:00、17:00~21:00(ネタが無くなり次第、早く営業終了する場合あり)
定休日:木曜日
公式ホームページはこちら
昭和・平成・令和。祝津の海と共に生きる店主が紡ぐ、至福のひととき|青塚食堂

目の前には海が広がり、すぐそばには「鰊御殿」や「おたる水族館」といった小樽を象徴するスポットが点在する祝津エリア。
ここにお店を構えるのが、創業1958年(昭和33年)の老舗『青塚食堂』さんです。
店先に漂う磯の香りと、炭火でじっくり焼かれるニシンの香ばしい匂い。これこそが、小樽・祝津らしさを象徴する景色かもしれません。

店内に入ると、どこか懐かしい、食堂らしい親しみのある空間が広がります。
今回お話を伺ったのは、昭和19年生まれの青塚忍社長。祝津で生まれ育ち、80年以上の月日をこの地と共に歩んできました。

実は青塚さん、おたる水族館で働かれていた経歴をお持ちです。
昭和33年(1958年)、祝津に「北海道大博覧会」の会場として水族館が開館し、見たこともないほどの人が押し寄せた当時。その頃の光景を今でも思い出す、と語る青塚さん。その旧水族館に10年、そして昭和49年(1974年)に移り変わった新水族館(現在)に2年、計12年にわたって水族館の現場を支えました。水の管理や魚の飼育など、"何でもやった日々"を懐かしく振り返って下さいました。

小樽市総合博物館 所蔵

小樽市総合博物館 所蔵
お店の看板メニューは、なんといってもニシン。今回は「特大にしん焼き定食」と「にしん丼」をいただきました。

驚くほど身がふっくら|特大にしん焼き定食

このニシンはサハリン系ニシンで脂の乗った形の良い物を地元に水産会社より一年分使う量を購入しているので、驚くほど身がふっくら。炭火で焼くことで骨離れが良くなり、箸を入れるたびにパラパラと身が解けます。

定食を彩る小鉢は、すべてが自家製。
一見、海苔の佃煮かと思いきや、実は「昆布の佃煮」。これが絶品で、素材の味を活かした手作りの温かみが体に染み渡ります。
お味噌汁の具も豪華。すべての殻にしっかりとした身が付いていて、胃袋が幸せでいっぱいになります。
ほんのり甘く優しい味付け|にしん丼

続いて、珍しい「にしん丼」を。
甘露煮にされたニシンは、ほんのり甘く優しい味付け。にしん丼を提供しているお店は珍しく、この店ならではの逸品です。「昆布の佃煮」も入っていて美味しさ倍増です。

(青塚社長)
「お客さんの期待を裏切らないように、量は変えない。一度来てくれた人は覚えているから、少なくなるとガッカリしちゃうでしょう?せっかくここまで来てくれているんだから。」
値上げもよっぽどのことがないとしない、と笑う青塚さん。その言葉には、長年お店を守り続けてきた自負と、遠方から訪れるお客さまへの深い「おもてなし」の心を感じました。

(青塚社長)
「昔を知っている人はもうほとんどいないけれど、今思えば楽しかったね」
歴史と伝統を語り継ぐ『青塚食堂』さん。
お店を出たあとも、炭火のいい香りと青塚社長やスタッフさんのあたたかい笑顔がずっと記憶に残っていて、なんだか幸せな気分になりました。
▮青塚食堂
住所:〒047-0047 北海道小樽市祝津3丁目210番地
TEL:0134-22-8034
FAX:0134-22-8396
営業時間:10:00 〜 19:00(L.O18:00)
定休日:不定休(休日は、当店またはホームページで確認願います)
公式ホームページはこちら
鰊料理が食べられるお店はまだまだあります
※各店のメニューは、仕入れや季節限定により通年提供されていない場合がございます。詳細は各店舗へお問い合わせください。

小樽通編集部ライター たるえもん
近代的な都会の街並みと下町情緒あふれる商店街、どちらにも魅力を見つける流浪に編集者。学生時代にグラフィックデザインを専攻し、ポスターや名刺など、紙媒体のデザインに魅了される。時代のニーズに合わせて、WEB業界でECに携わり、WEBディレクターを経験。現在は地元小樽の魅力に浸かりながら、雑誌編集にいそしむ日々。
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