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お買い物とお茶とランチ、大人が楽しむ住ノ江さんぽ【Webマガジン小樽通】

2026.09.24

小樽市住ノ江(すみのえ)――最寄りは南小樽駅、小樽の総鎮守である住吉神社があり、この界隈には静かな住宅地に穴場のお店が点在しています。

定番の観光コースでは見つからない住ノ江地区で出会えるのは、すてきな雑貨、おいしいお茶とごはん、そして大人が静かに過ごせる場所。

札幌から日帰りで住ノ江さんぽ、新しくて懐かしいものを見つけてきました。

※記事の内容は、配信時の情報に基づきます。 最新情報は、各施設へお問い合わせください。




【目次】
1.三つの小さなお店が集まる『旧カトリック住ノ江教会・十字路』
 ▸ 体にやさしい手づくり和風ランチと米粉のお菓子『こめト食堂』
 ▸ 着物と和装小物で小樽さんぽを楽しく『ウスキ呉服店』
 ▸ 手しごとの白樺アクセサリーに出会える『住架』
2.大人に訪れてほしい憧れの空間『群青』
 ▸ 小樽の甘味と日本茶を楽しめる静かな場所『翠 -sui-』
 ▸ 暮らしを豊かに彩る雑貨・衣服・うつわの数々『藍 -ran-』
 ▸ 職人の技と歴史が息づく民芸品・古家具に出会う『蒼 -sou-』
 ▸ 小さなお花屋さんで見つける季節の草花『花屋月草』
3.地域を見守り住民に愛されるシンボル『小樽住ノ江火の見櫓』



札幌からバスで約40分、「住吉神社前」停留所で下車。
住吉神社でお詣りしてから、住ノ江さんぽの始まりです。 神社のおとなり、浄暁寺の裏手にある道を歩いていくと、
赤い屋根のある白い建物が見えてきます。

この建物は明治30年代に建てられた、小樽の実業家・佐々木静二さんの邸宅でした。(佐々木さんが第4代社長をつとめたという共成株式会社は、米穀商として大きく発展。その社屋は小樽オルゴール堂として現存しているのですが、それはまた別のお話……)

戦後は教会として譲渡され、信者たちの心のよりどころとして大切に使われてきました。

2024年、教会はその歴史を終えることになりますが、NPO法人小樽民家再生プロジェクトにより新たなスポット「旧カトリック住ノ江教会・十字路」としてよみがえったのです。



「旧カトリック住ノ江教会・十字路」は、2025年4月12日にオープン。現在は3軒のお店が営業しているほか、レンタルスペースも利用できます。

中に入ると、教会だったのに靴を脱いで床に上がるというのがユニーク。ここがかつて邸宅だったこと、信者さんたちが手づくりで教会に改装したことから、このようなスタイルになったそうです。

かつての大広間は教会の聖堂になり、今ではレンタルスペースとしてイベント時に利用されています。

教会にあった説教壇やオルガン(※ステレオは現在撤去)などが残されていて、教会ならではの「懺悔室」までありました。

実際に見るのは初めて!何か懺悔したい方は、その気持ちだけでもあれば入ってみるといいかもしれません。

ロビーはテーブルや椅子などもあるフリースペースとなっていて、イベントスペースと同様にレンタルすることができます。

これまでもライブや小樽学講座など、さまざまなイベントが開催されたそうなので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。(※今期のレンタル受付は終了しており、来年3月以降のご予約を受け付けているとのことです)

旧カトリック住ノ江教会・十字路
小樽市住ノ江2丁目2-7
ホームページ



写真左手がお店部分となります。

このフリースペースすぐそばにあるのが「こめト食堂」。

2025年7月にオープンした「こめト食堂」は、お米と発酵食を取り入れたランチとスイーツのお店。

米粉を使ったお菓子屋さん「こめトわ」の姉妹店で、店頭ではグルテンフリーのお菓子も販売しています。

ここでいただけるのが「日替わり発酵食ランチ」で、この日はニシンの蒲焼き丼でした。

店主の長谷川昌美さんは南樽市場で買い物していたり、出店した経験から、この市場に並ぶ旬のおいしいお魚も食べてほしいとランチに取り入れています。

お味噌汁は「おたる味噌工房」の2年熟成味噌を使い、濃い色でありながら塩気はきつくなく、おだやかでやさしい口あたりです。

副菜に「おたる味噌工房」の塩麹や甘酒を使い、サラダには甘酒ドレッシングを合わせるなど、ひと品ずつ手をかけたお料理が味わえます。

人気のスイーツは、「味噌豆乳プリン」。

自然栽培の小豆を炊いた手づくりの粒あんがのっています。

栄養士でもある長谷川さんの料理は、どれも体にいいものばかり。ハーブティーとともにいただき、心も体もリフレッシュできるランチタイムとなりました。

長谷川昌美さん)
小麦粉を使わないグルテンフリーのお菓子と、地域の食材を取り入れた体にいい食事を提供しています。日本人が昔から食べている、お米、お味噌、塩麹など発酵食は、食べつづけることで健康な体をつくってくれると信じています。シンプルでいて、ぬくもりのあるおいしい料理を心がけています。

こめト食堂
営業時間:11:00~17:00
定休日:月曜・木曜(その他 不定休あり)
Instagram



建物に入ってすぐ左手には、「ウスキ呉服店」があります。

呉服店というと着物と和装小物の販売というイメージですが、その奥にはとっても楽しめる世界がありました。

かつて応接間だったという洋間には、おしゃれにディスプレイされた着物や和装小物の数々。

店主の臼杵(うすき)美紀さんが気さくに出迎えてくださいます。

天井には美しいレリーフがあり、このデザインに魅せられたという臼杵さん。

お店オリジナルの帯や帯留めにも、このデザインがあしらわれています。

臼杵さんは札幌のご出身。古い建物が大好きで、小樽にもよく通っていたそうです。着物のお仕事をしていたこともあり、着物で小樽のまちを散歩するのも好きだったそう。

この教会だった建物を有効活用したいという話を聞き、2025年4月、ここで自分のお店をオープンすることにしました。

着物というと現在ではハードルが高いように思われがちですが、大人になった今こそ気楽に身につけられるものだそう。

確かに、日本人なのに成人式や結婚式以来まったく着物を着ていないなんて、もったいないですよね。
なるべくお手頃な反物を揃えているので、この機会に着物をあつらえてみるのもおすすめです。

ほかに帯留めはブローチにするなど、ここで見つけたものをアレンジして楽しむお客さんもいるそうです。

臼杵さんは小樽が大好き。相当の小樽通なので、いろいろと小樽のことをお話ししてくださいます。
おしゃべりが楽しすぎて、思わず時が経つのを忘れそう。
お買い物だけでなく、小樽のことをお話してもらえて一石二鳥でした。

臼杵美紀さん)
札幌で着物の仕事を20年つづけてきて、大好きな小樽で自分のお店を開くことにしました。大学で日本史を専攻していたこともあって、古い建物が大好きです。この歴史ある建物と出会ったことで、いつまでも残していけたらと思います。訪れていただいた方には、この建物の歴史、着物や和装の魅力、そして小樽の楽しみ方を伝えていきたいですね。

ウスキ呉服店
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜・木曜(不定休・季節変動あり)
Instagram



なお、訪れた日にはお休みでしたが、この建物には白樺樹皮を使ったアクセサリーや籠などを販売している「住架」というお店もあります。

以前の記事でもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
↓
【小樽通2025夏号】小樽で選ぶ 暮らしを彩る雑貨さがし

住架
営業日:土・日曜、時々平日。詳細はInstagram で
営業時間:11:00~16:00
Instagram



「旧カトリック住ノ江教会・十字路」のおとなりにあるのが、かつて小樽の網元だった方の邸宅をリノベーションした「群青」。

築120年以上とされる建物の中に、三つのコンセプトからなるお店が入っており、それぞれ「藍(らん)」、「翠(すい)」、「蒼(そう)」と青にちなんだ名前を付けられています。

2025年には小樽都市景観賞を受賞したという、趣のある一軒。店主の中村健一さんが、小樽のまちに惹かれ、歴史あるものを探していく中で、ようやく出会えた建物です。

中村さんが丸4年をかけて改装し、美しくよみがえった古民家。その中には、大人がじっくり時を過ごせる空間があり、小樽や北海道、日本で大切にされてきたものがありました。

群青
小樽市住ノ江2丁目2-4
ホームページ 



北海道では珍しい、瓦屋根のある本格的な日本建築。

のれんをくぐると、まずは「翠(すい)」という手づくり和菓子とお茶のお店が現れます。

玄関だったところから足を踏み入れたとたん、思わず靴を脱ぎたくなってしまうほど、落ち着いた空間が広がっています。

かつては網元の家の座敷だったという部分には、当時もあった神棚が祀られ、日本の古式ゆかしい雰囲気につつまれています。

店内はテーブル席と座敷席があり、午前中のみ予約が可能となっています。

中庭を眺めながら過ごせる席もあり、手入れの行き届いた庭で季節を感じることもできます。

おひとり様には洋間のカウンターでくつろぐ時間も楽しめます。

こちらで提供しているのは、日本全国から選りすぐったお茶と、小樽ゆかりのものを含む和菓子。
おみやげは全てオリジナル商品で、店頭で購入することもできます。

店内でいただいたのが、甘味とお茶のセット「おしるこ 白」。

白いおしるこというのは珍しく、まろやかなミルクの白あんを使っています。お餅も小樽にある「みなともち」から取り寄せたもので、昔からお餅屋さんの多い小樽ならではの甘味です。

お茶はお店の方に煎れていただいた1煎目。次にお湯を足して10秒たってからいただく2煎目、最後に玄米パフを入れて10秒たってからいただく3煎目、と三度も楽しめます。

香りや味わいのちがいが感じられて、じっくりお茶と向き合う時間もなんとも贅沢です。

小樽で焼かれたという最中種に、お好みのトッピングで組み合わせが楽しめる「あわせ最中 甘味とお茶のセット」。

昔から小樽にはお餅や団子のお店が多いですが、最中をつくっているところがあるとは知りませんでした。

トッピングは、赤あん、白あん、レーズンクリームチーズ、くるみ、ゆず味噌、抹茶塩とあり、自由に組み合わせることができます。レーズンクリームチーズと、メープルシロップ漬くるみがぴったり。最中もさくさくと香ばしく、お代わり最中も追加することができます。

おみやげにはオリジナルの焼き菓子『雪ノ実』を日本茶とともに。
北海道産の小麦粉を使ったスノーボールクッキー(ブールドネージュ)で、生姜やほうじ茶など様々なフレーバーがあるので、自宅でゆっくりとお茶時間を楽しむのもおすすめです。

群青 翠 -sui-
営業時間:11:00~18:00(ラストオーダー17:00)
定休日:水曜・木曜
Instagram
※Instagramより席の予約が可能
※6歳未満(未就学児)ご利用不可
※冬季期間は表玄関を閉鎖、駐車場側裏玄関のみご利用可



「藍(らん)」は生活雑貨や衣服など、日々の暮らしを彩るものが見つかるセレクトショップ。

入口には道内作家さんによる、お店オリジナル商品がディスプレイされています。

小皿、キャンドル、石けん……北海道の上質なおみやげとしてもおすすめです。

店内に入って左側には、全国から選りすぐった食品が揃っています。

食の意識が高い方には、ぜひ取り入れてみてほしいものばかり。

こちらで販売されているのが、手仕事による衣服やうつわ。

それぞれのものに風合いがあり、クオリティが高く、長持ちできるものが揃っています。

オホーツクの流氷硝子など、北海道で手づくりされているうつわもあります。

イタドリという雑草は使い道がないといわれながら、作家さんの手によって、かわいらしいオブジェになっていました。

環境に配慮した手仕事も、このお店で見ることができます。

一点ずつ見ているだけでも、時のたつのを忘れてしまいそう。

作家さんたちのうつわは個性があり、選ぶ人にぴったりのものが見つかりそうです。

日々の暮らしで使うものも、作家さんの作品に替えてみることで、食卓が豊かに、おしゃれになります。

さりげなく置かれているうつわにも、それぞれのストーリーがあります。

小樽で明治時代からつづくという「小樽窯」や、岩見沢「こぶ志焼」など、今では貴重になった古い焼き物もあり、こういったうつわを骨董品でなく、ふだんの生活に取り入れるのも大切なことではないでしょうか。

北海道や全国各地でつくられている作品の数々に出会い、お気に入りを家に連れて帰る――そんなお買い物の時間こそ、大人の楽しみ方だと思います。

群青 藍 -ran-
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜・木曜
Instagram



軟石の保管倉庫に、作家ものの家具や国内外の民芸品を集めたのが「蒼(そう)」。

メキシコ、ペルー、アフリカ、スペイン、韓国……世界中の民芸品の中に、今はもう入手困難な北海道・上士幌町の熊の置物などがあり、それが不思議と調和しています。

2階に上がると、松本民芸、天童木工を始め全国の手仕事による家具に出会えます。

和紙を使った照明など家具調度品がセンスよく展示されているので、ご自宅のインテリアに取り入れてみるのもよさそう。

中には北海道民芸家具もあり、今ではつくられなくなった、昔の職人の手仕事がここに息づいています。

この建物の工事の際に出てきた木材、開拓期より伝わる小樽軟石など、店頭にあるものもまた、歴史を物語っています。

宝探しをするように、自分に合う最高の一品に出会えそうな場所です。

群青 蒼 -sou-
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜・木曜

中村健一さんコメント)
札幌で営んでいるカフェで、ずっと作家さんの作品も扱ってきました。手仕事による素晴らしい作品の数々をもっと紹介できればという思いと、大好きな小樽で出会った歴史ある建物が結びつき、和のテイストを大事にした「群青」が生まれました。小樽の自然にある美しい青色や緑色にちなみ、「藍」、「翠」、「蒼」という漢字を当てた三つの空間で、それぞれの手仕事の魅力を感じていただけたらと思います。



なお「群青」には不定期で、お花屋さんも営業しています。

すてきなお花を日々の暮らしに添えたり、大切な方への贈り物にしたり、気持ちが明るくなれそうです。

群青 花屋月草
営業日はInstagramを参照
Instagram

「群青」に車でお越しの方には、建物裏に駐車場があります。こちらからも入店できますのでご参考まで。

静かな時間を楽しむ大人だけの贅沢な空間。お子様は大人になるまで楽しみにお待ちくださいね。



大人の静かな時間を楽しんだ後、外に出てみると、天高くそびえる鉄塔が。

これは1927年(昭和2年)に建てられた火の見櫓です。

地域を守ってきた火の見櫓は、老朽化により解体されようとしていましたが、地元の人々の熱い想いを受けて保存されるように。来年は100周年を迎えるという歴史ある鉄塔です。

ここから坂を下りれば、JR南小樽駅まで徒歩で約5分。老舗のかまぼこ屋さんに寄ろうか、人気のプリン専門店に寄ろうか、それとも市民の台所・南樽市場まで足を延ばそうか……お買い物の時間はまだまだ尽きません。

日々の暮らしを豊かにするもの、大切な人へのちょっとした贈り物――この住ノ江界隈を訪れてみれば、きっと、すてきなものが見つかりそうです。



八木由起子
石川県金沢市出身、京都の大学から、東京の出版社に就職。札幌へ移住後、タウン誌「poroco」編集長、全国誌「北海道生活」編集長を経て、現在フリー。北海道をぴょんぴょん飛びまわり、各地の魅力を伝えています。小樽のまちが大好き!



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