おたる コラム

敷かれたレールを走る。

2020年 12月 24日
盛合将矢(フリーライター)

 ネガティブな印象にも見えるこの言葉ですが、選択肢があまりにも増えすぎたこの時代に、一本のレールの上を行き来する潔さのようなものに、勝手な憧れを抱いてしまいます。通信・交通技術などの急激な進化によってライフスタイルが変わり、コンビニでお茶を購入するときも現金・クレジットカード・クオカード・電子マネー各種などの選択に迫られます。

 小樽から列車に乗る時は地元民の僕でも、海側に座ろうか山側に座ろうか、進行方向を眺めるか逆を見るか、飲み物は買っておこうか我慢しようか、いろいろ迷ってしまいます。行き先と出発時間を決めてもなお、選択する事は無数にあるものです。

 

2020年は北海道の鉄道が開通して140周年を迎える、節目の年でした。 そして、そのレールが敷かれたのは、小樽からでした。

線路は続くよ、小樽から、どこまでも

時代が明治に突入すると北海道は札幌を中心に発展していきます。幌内(三笠市)で良質な石炭が発見され、それを本州へ運び出す港として室蘭港などが候補に挙がりますが、最終的に小樽港が石炭の積み出し場所として選ばれました。

 小樽と幌内を繋ぐため、まずは小樽港から札幌を結ぶ鉄道工事が1880年(明治13年)に始まります。そのモニュメントが小樽市総合博物館本館(手宮)の構内にあります。その名前はゼロマイル・ポイント(北海道鉄道開通起点標)、北海道の鉄道は小樽を”基準となるゼロ”に定め、線路を伸ばしていったのです。
 以前、別の目的で博物館に行った時にこのモニュメントを偶然見つけて解説を読み「ここから始まったんだ」と冒険心を擽られ、一人でニヤリと笑っていたのを覚えています。

 最初は石炭を運ぶ線路でしたが、やがて人も行き来できるようになります。小樽で水揚げされたニシンを背負って札幌まで売りに行く行商なども登場し、他にも様々な仕事が登場しました。中には、一攫千金を夢見た人も居た事でしょう。

それから140年  

 列車に乗り、山側を見ると緑豊かで自然が蠢く絶壁。反対側には、手を伸ばせば届きそうなくらい近い広大な青い海。その隙間をすり抜ける列車の鼓動が足元から伝わり、見上げると一攫千金を目指したロマンが見える気がしてきます。
 小樽に来られる際には、スマホや観光冊子は少し閉じて、小樽の自然と、そこに宿る歴史についても感じてみてくださいね。

 そして、小樽で沢山の良い選択肢に巡り合い「行ってよかった、良き選択だった」と、帰り道で思っていただけたら、いち市民として大変嬉しく思います。

■POINT
・明治13年(1880)11月 北海道に初めての鉄道(小樽-札幌間)が開通した。
・2020年は北海道鉄道の開通140周年だった。
・港と鉄道を持つ小樽は、北海道の発展に重要な役割を担っていった。

■筆者おススメSPOT
①旧国鉄手宮線
廃線は散策路として活用され、線路の上を歩いたり散歩したりすることが出来ます。
https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sumai/machidukuri/temiyasen/keikaku.html

②ゼロ・マイルポイント
市指定史跡として小樽市総合博物館構内に北海道鉄道開通起点(ゼロマイルポイント)が置かれています。
*入館料必要
https://www.city.otaru.lg.jp/simin/gakushu_sports/bunkazai_isan/bunkazai/

③小樽百貨UNGA↑
洗練された商品を通じて、小樽の歴史と簡単に触れ合えることが出来ます。
https://unga-plus.com/


参考文献
小樽市教育委員会 2020『教材「小樽の歴史」』