おたる コラム

小樽市色内エリアのおすすめ昼食

2018年 05月 18日
小樽ふれあい観光大使 シニアソムリエ 阿部眞久

小樽市のなかでも、色内(いろない)周辺が私は好きだ。雰囲気のある歴史的建造物に加えて、美味しいレストランが多く、文化的な要素もたくさんあるエリアだと思う。私の経営する「北海道・ワインセンター」も色内の「小樽運河ターミナル」のなかにあり、ほぼ毎日の昼食はこの周辺でとっている。本稿では色内エリアでおすすめのランチスポットをいくつか紹介してみたい。

あんかけ焼きそばを、更にたっぷり海老入りで

ワインセンターから徒歩1分。小樽運河の手前の臨港線沿いにあるレストラン「好」(ハオ)は何を注文しても間違いのない、安定した美味しさが味わえる。落ち着いた雰囲気の店内で、本格中華料理がリーズナブルな価格で提供されている。ここで私が特に好きなのは「海老あんかけ焼きそば」である。小樽の名物ともいえるあんかけ焼きそばに海老がたくさん入っており、麺と餡のボリュームもほどよく、辛子と紅生姜と酢をアクセントに食べ進めるのは至福の時間だ。

<写真上:海老あんかけ焼きそば>
<写真右上:あんかけ焼きそばセット>
<写真右下:冷やし中華>

海の街で食べる絶品パエリア

「好」の前をもう少し歩くと、小樽運河プラザの先に「マンジャーレTAKINAMI」と「ル・キャトリエム」がある。どちらも私がシェフの人柄と料理の味わいに心底ほれ込んでいる店である。
「マンジャーレTAKINAMI」はシェフの瀧波さんが若かりし頃にバイクでユーラシア大陸を横断して、各地で経験してきた料理が幅広く提供されている。隠れ家のような外観とインテリアに落ち着きがあり、ここの名物は「パエリア」。オーダーしてからパエリア鍋で焚き上げるため少なくとも45分はかかるが、豪勢でさまざまな具材から染み出した味わいは深く、海の街で食べるパエリアは最高だ。
また、暑い時期にはヴィシソワーズ仕立てのパスタもあり、ニセコ産のじゃがいもを用いた冷たいスープに、カッペリーニのパスタが入り、トマトと生ハムの色合いはものすごくインスタ映えするだろう。「シェフひとりで調理するため時間がかかります」と書いてあるように、急いでいるときにはおすすめできないが、居心地がよく、ワインを飲みながらゆったりとランチを楽しみたいときに最適なお店だ。

<写真左上:パエリア><写真左下:魚のランチ>

季節の食材を、美味しく美しく

「ル・キャトリエム」は私と同じ年の漆谷シェフがオーナーだが、彼はもともと北海道で初のアイスクリームを出した「美園」の4代目ということもあり、幼少のころから食に対する感度や舌が研ぎ澄まされている。フレンチの修行を経て独立してからも常に研究や最新の動向に関心を絶やさないプロフェッショナルであり、天才的なセンスの持ち主でもある。
ル・キャトリエムは、1階はテイクアウトのケーキやスイーツのお店であるが、2階のカフェでは料理が提供されている。決まったメニューはなく、その日のメイン料理に前菜やデザートを組み合わせたランチコースが用意されている。前菜に見た目も鮮やかな「野菜のロースト」、そしてメインには魚か肉料理という構成のものが好きだ。何が食べられるかは店に行ってからのお楽しみであるが、ほぼ女性客で満席が多いことからも、お洒落で綺麗で美味しいことがお分かりいただけるだろう。私もこれまで幾度となく食べてきたが、エゾシカや牛肉、北島ポークの低温ローストは絶品で、ヒラメやイナダのソテーなどの魚料理も素晴らしい。近隣の季節の食材を上手に用いて、意外な発見や驚きを与えてくれるお店である。
ランチ以外でもアイスクリームを添えたクレームブリュレや、季節のフルーツのマリネなど、ここでしか食べられないスイーツを味わいにくるのもいい。

<写真右上:野菜のロースト><写真右下:道産そば粉のガレット>

蕎麦を啜る。ほっとするひととき。

蕎麦なら老舗の「一福」がいい。明治27年から120年以上も続く店で、更科の白さが美しい蕎麦を、冷たいそばつゆと天ぷらを浸した熱々のつゆの双方で楽しめる「もりと天抜き」が小樽では珍しい。待つあいだに、品書きの後ろのページに書いてある一福の歴史や写真を読んでもらいたい。色内周辺が昔から商業や海運で栄えた、人の多い地域だったことも窺い知ることができるだろう。

私自身がもっとも多く頼むものは「かしわそば」で、鶏肉と葱、そばつゆの風味と艶やかさに心がほっとする。やや長めの蕎麦を手繰り寄せ、ずずっと啜るひとときは、日本人でよかったとしみじみ感じる瞬間でもある。明るくシンプルな店内ながら老舗ならではの目配りがあり接客も小気味よい店だ。

<写真左上:もりと天抜き>
<写真左下:かしわそば>

レストラン好
北海道小樽市色内1丁目2-18 協和浜ビル 
営業時間:11:00am ~ 9:00pm※LO 8:00pm(ドリンク 8:30pm)
https://otaru-hao.com/

マンジャーレTAKINAMI
北海道小樽市色内2丁目1−16 
営業時間:11:30~15:00(L.O.14:00) 17:30~21:30(L.O.20:00) 

ル・キャトリエム
北海道小樽市色内2丁目3−1 
営業時間:11:00~19:00

一福
住所:北海道小樽色内1丁目6-8 
営業時間:11:00~19:00 
http://www.otaru-ichifuku.co.jp/top.xhtml

小樽駅と運河のあいだにある色内地区は旧日本銀行小樽支店(金融資料館)や小樽バイン、似鳥美術館、小樽芸術村、オサワイナリーなど街並みも素敵で、文化的な雰囲気のあるエリアだ。本稿ではランチのことだけを紹介したが、次回は色内を中心としたワインやお酒を楽しめるスポットを紹介してみたい。(続く)