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2024年春から始動した地域独自の仕組み、「小樽おもてなし認証」は今年3年目。この認証を取得した企業・施設は、認証のプロセスのなかで自社のおもてなしをあらためて見直し、他の認証取得施設と共に学び合いながら、さらなる「おもてなし力」向上に努めています。そんな「小樽おもてなし認証」を取得した事業者の取組をご紹介していきます。
※記事の内容は、配信時の情報に基づきます。 最新情報は、各施設へお問い合わせください。
北海道中央バス株式会社 小樽ターミナル
小樽市民の足であり、行先によっては観光客の方もよく利用するのが市内路線バス。そのバス運行の案内を行う「北海道中央バス 小樽ターミナル」は駅前第一ビル内にあり、窓口では出発時間や乗り場、乗り継ぎの仕方など、日々多くの問い合わせに対応しています。「市民の方であっても、住んでいる場所以外に行く時には、どこで乗っていいかもわからないものです。観光客の方でも市民でも、質問内容は同じなんですよ」と話すのは、小樽ターミナルの坂野所長。繁忙期には、窓口はもちろん、自らホームに出て案内を行っています。
そんな便利なツールができたとはいえ、やはり、窓口で直接聞きたい方も多いもの。坂野所長曰く、「新人は札幌で接遇研修を受けます。さらに、窓口業務の先輩がマンツーマンで教えているので、1か月くらいで育っているようです。窓口を担当するスタッフは、ほとんどが10年以上のベテランで、所長の私よりも経験が長い方もいるので安心です」とのこと。2024年に「小樽おもてなし認証」を取得してからは、さらにプライドを持って窓口対応をしてくれているそうです。

「本来は夏が一番忙しかったのですが、近年は海外からのお客さまが増える冬が一番の繁忙期。海外の方から聞かれることはだいたい決まっているので、翻訳機や身振りなどで対応していますし、英語堪能なスタッフも2人います」とのこと。そして、「特に小樽ターミナルはJR小樽駅前にあるので、小樽の顔として恥ずかしくないようなおもてなしをという想いで、日々ご案内しています」と語ってくれました。
市民も日々利用するバスターミナルのおもてなしが良ければ、当然、私たち市民も気持ちよくバスを利用できます。そして、本来「おもてなし」とは、サービスを提供する側だけで作られるものではなく、サービスを受ける側との関係性により培われていくものです。日々のバス運行を滞りなく進めてくれているバス事業者や、案内業務を担当するターミナル担当者への感謝の念を忘れないでいることも、「おもてなし」を考えるうえで大切なことではないでしょうか。そんな両者の関係性により、小樽のおもてなしの質は高まっていきます。「中央バス 小樽ターミナルのおもてなし」は、きっと、小樽市民によって、さらに磨かれていくのかもしれません。

▶北海道中央バス 小樽駅前ターミナル
http://www.chuo-bus.co.jp/
おたる水族館
小さなお子さん連れのパパやママ、おじいちゃんやおばあちゃんはもちろん、若いカップルや世界各国からの外国人ファミリーなど、本当に様々なお客さまが訪れる「おたる水族館」。お客さまの多様さもあり、おもてなしについても様々な工夫をされているようです。

学芸員として20年以上飼育に携わり、現在は総務部次長としておもてなしを担当する古賀さんは、いつも「何ができるだろうか?」と考えているそう。たとえば、駐車場から水族館入口までの長い階段は、ベビーカーや車いすの方にとって、いきなりの難関です。「駐車場は、お客さまとスタッフが最初に出会う場所。駐車場担当者には、お客さまが困っていることはないか、いつも注意するように」と話しているそうです。駐車スペースは限られますが、歩行が困難な方は正面入口の側までご案内をしています。それにより、階段を上ることなくスムーズに移動が可能になります。また、海獣公園にある「ごますけ号」もその1つ。夏に稼働しており、ご年配の方は、このカートに乗って海獣公園の坂道を行き来できます。ただ、現在は1台しかないため、いつでも使えるという状況ではありません。だからこそ、電動カートが使えない場合は「では、何ができるか?」を考えて対応しているそうです。

時代に合わせ、お客さまからの声も取り入れながら「できること」を増やしていく取り組みは、日々続いています。子育て中のパパのため、男性用トイレにおむつ替えスペースを設置。また、イスラム圏のお客さまからのご要望があれば、事務所や会議室を貸し出し、「お祈りの時間」に使用してもらっています。「お祈りの専用スペースはありませんが、お客さまがそれぞれ気持ちよく過ごせるよう、できる工夫をしています」と話す古賀さん。数年前から、毎日朝礼も行っています。「日々、皆で問題などを共有しているので、自分が気づかなくても、他のスタッフの話を聞くことで、スタッフ全体のおもてなし力の底上げに繋がっていると思います」と語ります。
そして、一番の主役である生き物たちの魅力を伝える努力も忘れません。「飼育員たちは、生き物の話をしたくてたまらないんです。例えば、このペンギンは今日デビューしたばかりなんですが、ちょっと足が悪いので様子を見ながら参加させているんですよ…など、普段からどんどんタイムリーな話をしていこうと伝えています。通路を移動している時や掃除をしている時であっても、こちらから押し売りするくらい、生き物の情報を伝えていこうと日々取り組んでいます」と語る古賀さん。飼育員のみに限らず、総務部のスタッフであっても「いつでも質問を受けるタイミング」だと捉えて、自分たちの方からお客さまにお声がけするそうです。

「おもてなし研修は非常にためになり、とても楽しい」とも語る古賀さん。「業種は違えど、人と人との関わりは同じ。これからも、皆さんと共に学びながら、サービスの一歩先にあるおもてなしを目指し、何ができるか?を考えていきます」と語ってくれました。「できないからあきらめる」ではなく、「何ができるか?」を考える。その姿勢は、まさに小樽のおもてなし力向上にとって、業種や施設に関わらず取り入れていきたいものと言えるでしょう。

▶おたる水族館
https://otaru-aq.jp/
小樽天狗山ロープウエイ
小樽天狗山は、北海道三大夜景のひとつに数えられ、一年を通して山頂から小樽の街並みや海を眺めることができるスポットです。特に冬は、映画『Love Letter』冒頭シーンにある真っ白な雪を見に、多くの外国人観光客が訪れます。約8割が日本人観光客となる夏場に比べ、冬になると6~7割がアジアからの外国人観光客となり、その割合は年々増加しているそうです。
そんな中、施設として心掛けているのは、「皆さまに楽しんでいただく」こと。国内外のお客さまはそれぞれ求めるものが異なるため、チケット売り場やロープウエイ乗り場、カフェ、ショップなどの各所で、「困っているのでは?」と感じた際には気軽にお声掛けし、各担当スタッフが臨機応変に対応できるよう心掛けているそうです。
また、冬のシーズンには、ロープウエイに乗るまで行列ができることもあり、その待ち時間を少しでも楽しく過ごせるように、天狗山で撮影された話題の映画やドラマのポスター、訪れた芸能人のサイン色紙を掲示しています。列に並んでいるお客さまが、これらをバックに記念写真を撮ることも増えたそうで、観光客の方の良い思い出づくりに一役かっているようです。

一方で、市民の利用が少ないことは、寂しく感じられているそう。運営会社である中央バス観光開発株式会社は、市民にもっと訪れてもらうための工夫もしています。たとえば、昨秋には小樽市民限定でロープウエイの往復乗車料金を、1週間ワンコインの500円に設定。この「小樽市民割」は大好評で、「久しぶりにロープウエイに乗った」「子どものとき以来で、懐かしかった」など市民に喜ばれたことから、今後もこのようなサービスを考えていくそうです。

また、ジップラインや熱気球などのアクティビティを増やし、山頂カフェのメニューもリニューアルしました。ショップの商品ラインナップに工夫を凝らし、道内の工芸作家による素敵な商品も積極的に取り扱っています。このように、市民や近隣の方々が何度も訪れたくなるような新しい取り組みも少しずつ進んでいます。
「おもてなし認証制度の導入を聞き、社内ではすぐに、“良い制度だから取り組もう”と意見が一致しました。私たちは、自分たちの施設だけではなく、訪れた方々が“小樽に来て良いおもてなしを受けた”と感じることを大切にしています」と語る担当スタッフ。そして、「この制度は、小樽市内の事業者が共通の認識を持って取り組む素晴らしい機会です。これからも、多くのお客さまに楽しんでいただける施設であり続けるため、スタッフ一同、一丸となって『おもてなし』の精神を磨き続けてまいります。」と力強く話してくれました。
小樽を代表する観光スポットの、天狗山ロープウエイ。今後、さらに「おもてなし力」が高まることで、ますます注目の施設になっていくでしょう。
▶天狗山ロープウエイ
公式サイト https://tenguyama.ckk.chuo-bus.co.jp/
Instagram https://www.instagram.com/otaru_tenguyama.resort/

ライター 田口 智子
1974年札幌生まれ。1996年に小樽市職員。観光振興室勤務などを経て、2007年にFMおたるに入社。2023年11月からフリーのパーソナリティー、ライターとして活動している。小樽の街歩きガイドブック『小樽さんぽ』『小樽さんぽ2』『とっておき!小樽さんぽ』などの著書がある。
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