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うどんのしろ|生き様がつくる最高の一杯『おたるのほそ道』公園通りをゆく①【Webマガジン小樽通】

2026.03.26



小樽の通りを巡るこちらのコーナー。今回のテーマは『公園通り』。
水天宮から小樽公園に向かってのびる通りで、普段からよく歩く馴染み深い通りでもある。

馴染み深いとは言ったものの、その歴史についてはまったく知らない。
なので今回も小樽市総合博物館にお話を聞いてきました。

明治20年頃。
既に、後に公園通りとなる道自体はあったものの、まだ整備はされておらずその大部分が山だった。
そもそもの名前の基となっている小樽公園もまだ整備されていなかった。
小樽公園は明治14年に開拓使によって公園地に指定されたものの、当時の日本には「都市公園」の概念がまだなく、公園として形になるのはもっと後のことだ。

明治30年頃から公園通り周辺の市街地化が始まる。
近くには花園小学校もでき、小樽公園の整備も進んだ。
通りが「公園通り」と呼ばれ始めたのもこの時期からだ。
明治37年には「稲穂の大火」があり、稲穂にあった2000軒以上の建物が焼けた。
すると、再建を機に多くの店が花園に移り、公園通りの周辺にも建物が一層多くなったのだそう。
大正から昭和にかけての公園通りは歓楽街として賑わい、百貨店や映画館、ビアホールもあったのだとか。

こちらは大正初期の公園通りの様子。建物が多く正面には水天宮が見える。

小樽市総合博物館蔵

そして昭和10年頃の公園通りの様子。こっちは反対に、水天宮を背に小樽公園側を向いた写真だ。
建物の形は違うものの、並び方には現在の通りの面影が見えてきた気もする。

小樽市総合博物館蔵

小樽人の身近な賑わいの場として続いてきた公園通り、そんな通りのいまを覗いてみよう。



水天宮側から公園通りを歩きはじめると、通りに沿うようにしていくつものお店が並んでいた。
最初に訪ねたのはその中の一軒。

『うどんのしろ』さんだ。

2023年の9月にオープンしたうどん屋さんで、店主の城浦修一さんが一人で切り盛りしている。

「元々警察官をしてて、早期退職してお店を始めました」

「飲食店をやろうと思ってたんです。
最初は船宿をやりたいなぁって考えてたんだけど、若いときからうどんを趣味でつくっていたのもあって、うどんにしました」

出身は帯広だという城浦さん。
「道内のどこで店を出そうか調べてたら、小樽に個人のうどん専門店ってあんまりないなって思って。札幌も近いしこりゃ小樽だなって」

うどんの注文は食券制。
どれもおいしそうで迷う。

なんと麺の量は全て同じ値段!
食いしん坊には嬉しいサービスだ。
食事だけかと思いきや、実は日本酒もいただけるんだとか。

「行ったことはないけど、香川県の東の方はこういう感じで夜にお酒を出すうどん屋さんが多いんだって。お客さんから教えてもらって、お酒も好きだからそういうのもいいなと思ってね」

どれにしようか悩んだ結果、今回は『鳥天うどん』をいただいた。

つるつるうどんと出汁の香り、ゆずのアクセントがたまらない。
鳥天もとってもジューシーで、おつゆに浸しても塩を振ってもおいしい。

実はうどんのしろさんでは、『こども食堂』という取り組みもしている。
こども食堂とは、子どもが一人でも無料や低額でごはんを食べれる食堂のことだそう。

「帯広にある学園でさ、地元のラーメン屋のおやじさんがこどもたちにラーメンを作ってあげてんのさ。
僕は帯広で生まれ育ってそういうのを知ってたから、自分も飲食するようになったらそういう社会貢献したいなって思ってて。
どういう形がいいかいろいろ考えて、こども食堂でやろうと」

現在は基本的に月2回、定休日の木曜日にこども食堂を開いているそう。
本来はお休みの日を使って活動されているというのだからすごい。

しかも、城浦さんの挑戦はこれだけにとどまらない。
「店始めて、一年目は人が来なかったときもあって経営が苦しかったのね。夜も人が少ないな~って!
こんなに夜も明るくて、歩道に日さしもあって雨に濡れなくていいのにもったいないなって思っててね。
去年の8月19日に『小樽公園通り商店街を盛り上げ隊!』っていう隊を立ち上げたんだよ」

「公園通りのお店は基本的に個人経営だから、そこの色を出していこうかなって思ってて。やっぱ若い人が働きたくなるようなまちづくりをしないとさ、人口流出も止まらないじゃない。
ここでやったら商売になるな!って、そういう通りにしたいな」

「協力してくれるっていうお店もけっこういるんだけど、まだイベントも何もやってないから、今年は何か活動したいな~って思ってるよ」

忙しいお店の合間を縫って、新しいことにも取り組もうとする城浦さん。そんなエネルギッシュな姿勢は料理に対しても。

うどんを作るときに何かこだわりはありますか?と聞いてみると…

「こだわりは、こだわらないこと!」

「常にね、探求!基本的なものはあるよ?けど、新しいものをどんどん取り入れて試していかないと、自分も味も進化しないから。何かにこだわってやったらダメさ」

「うどんだってさ、北海道産小麦使ってるけども、いろんな粉がこれからも生まれてくるでしょ。そういうのをどんどん使っていかないとね、今より美味しくなるかもしれないし」

何でも試して、常に挑戦する。試行錯誤を重ねてきたからこそのいまがあるのだ。

何事にも通じる姿勢を、おいしいうどんを通して教えてもらった。

かっこいい生き様が生み出す絶品うどん、ぜひ一度ご賞味あれ。



「『おたるのほそ道』公園通りをゆく②」は4月2日(木)17:00に公開予定です。(全3回)
お楽しみに!



小樽通編集部 小竹多聞
広島生まれ愛知育ち。
北海道の雪は好きだけど寒さには弱い。小樽での楽しみは行きたい店リストをコンプリートすること(159軒/268軒)



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