おたる コラム

短編コラム・小樽の魅力(第1回)

2017年 07月 23日
ダンディ柴田

第一話:駅で

上野駅をモチーフにした小樽駅。合計333個のランプが迎えてくれる。
改札を抜けると港までスコーンと抜ける1本道・中央通り。まずは大きく深呼吸。小樽の空気をしっかり身体に入れる。
運が良ければ正面に豪華なクルーズ船。もし見られなくても駅前の「長崎屋」は豪華客船をイメージして作られた。まずはそこからチェック。
完成した当時は北海道で一番大きな商業施設だった。1週間のうち月曜だけはちょっとだけご褒美の日。小樽駅から見える景色が変わる。新潟や敦賀とを結ぶ新日本海フェリーが「小樽へようこそ!」とばかりに正面の第三号埠頭であなたを歓迎してくれる。

気づかなかった。よく見ると海の向こうにそびえる山々。高倉健主演の映画『駅』の舞台・増毛(ましけ)はこの山の向こうにある。
青く広がる恵みの海・石狩湾。裕次郎が愛した海もこの海だ。サカナクションの山口一郎は少年時代この海で魚釣りを楽しんだ。
かつてはニシンが群れをなし海の色を銀色に変えた。いまはタラ、ほっけ、カレイ、ひらめ、イカ、ウニなどなど。小樽にはおいしいものがたくさん揚がる。日本一の大きさを誇るシャコも忘れてはいけない。
もいちど深呼吸したら、さっ、旅の始まりです。

「そうだ!ランチはお寿司にしよっと」

第二話:歴女気分でぶらぶら散歩

駅から海に向かう。ゆるやかな傾斜の石畳の坂道をぶらり歩いていくと旧手宮線の線路が交差する。
北海道で一番最初にできた鉄道。小樽人の誇りでもある。黒い煙を履きながら幌内の炭鉱で掘られた石炭を運んでいた。
線路に耳を当てSLが近づく予感を楽しんだのはもう半世紀も前。線路で”綱渡り遊び”したら「はい、チーズ!」。目を閉じるといにしえの汽笛が聞こえるかもしれない。

なんだか歴史を感じさせる建物が増えてきた。小樽は屋根のない宝石箱。意匠を凝らした建造物があっちにこっちにも。
商都として反映した時代の重厚な建造物がいまも残っている。スマホの加工ならセピア色がよく似合う。
小樽はゆっくり何時間もかけて歩かなくちゃ。今日はどのルートにしよっか。
ウミネコの鳴き声が聞こえてきたらそこはもう小樽運河。スマホばっかり見てたら見逃してしまう。

「あっ、瓦の屋根にシャチホコ発見!」

名古屋城の天守と同じく運河プラザの上で南北に向かい合っている。その下に忠犬ハチ公?いえいえ小樽の消防犬ぶん公ですよ。

なんだか今日は歴女の気分!「私、左に曲がりま~す。発車オーライ」北運河に沿って歩く。
幅40mの運河がそのまま残っている。まわりは石造りの倉庫たち。運河の艀(はしけ)船で運ばれた荷物を置き留めた場所がこの倉庫群。
荷さばきをする商人たちの掛け声が聞こえてきそうだ。歩を進めるとそこは運河公園。奥に見える重厚な建物は旧日本郵船。
日露戦争後の条約が結ばれたすごい場所。小径に入ってちょっと迷子になる。気になる建物がいくつも登場する。

小樽はどこを歩いても歴史の足音が聞こえてくる。いつもと違う道はちょっと得した気分にさせる!

続編、第2回も是非読んでくださいね。
●短編コラム・小樽の魅力(第2回) https://otaru.gr.jp/column/shibata_short2