おたる コラム

癒しスポット水天宮

2017年 07月 19日
小樽観光協会理事 石橋 八千代

 蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山麓に抱かれ、ジャガイモやユリ根の産地として有名な後志管内真狩村で産まれた私は、4歳迄真狩村で過ごし、その後は父の転勤に伴って幼少期・思春期・青年期を後志管内各地で過ごしました。
 後志には海があり山があり川があり、季節毎に豊かな表情を見せてくれる程自然に溢れています。
 その自然に恵まれた後志の玄関口が小樽です。小樽にも海があり山があり川があり、そして何より歴史があります。
 私は縁あって小樽の地域FM局(FMおたる)でパーソナリティーとして情報発信をし、小樽の皆さんと絆を結ばせていただいて20年以上になりますが、小樽は奥が深く、今、尚、知らない事が沢山あります。

 そんな奥の深い小樽には癒しスポットが沢山ありますが、中でも私のお薦めは相生町にある「水天宮」です。

「水天宮」は小樽市街地の小高い丘の上にある神社で、境内からは小樽港を望むことが出来、緑に囲まれた素晴らしい場所です。
 創建は安政6(1859)年、現在の社殿は大正8(1919)年に建てられました。
 祭られている神様は、水派能女神(ミズハノメノカミ)・・・水を司る神、保食神(ウケモチノカミ)・・・五穀を司る神、伊邪那岐神(イザナギノカミ)・伊邪那美神(イザナミノカミ)日本神話の夫婦の創造神、以上四柱の神々です。
 *大正8年(1919)年に滋賀県多賀神社から「伊邪那岐神・伊邪那美神」の分霊をいただいたそうです。
 「水天宮」は春には桜を愛でることが出来、6月にはお祭りがあり、小樽市民に親しまれています。
 私は仕事で疲れた時、気分転換したい時、何も考えたくない時等は決まって「水天宮」に行き、心を開放し、その静かな空間に身を委ねます。
 又、小樽港を望める反対側からは綺麗に一直線に延びる花園公園通りを見ることが出来ます。
 花園公園通り沿いに歌人・石川啄木が住んでいたこともあってか、「水天宮」の境内には石川啄木の歌碑が建立されています。

小樽駅から「水天宮」迄のコースは色々ありますが、出来れば花園銀座商店街を歩いていただいて、老舗の菓匠「小樽新倉屋・花園本店」で花園だんごを、「かま栄花園本店」でお菓子感覚で食べられるパンロール(すり身をパンで包んである)を買っていただいて、花園橋を渡り、鳥居をくぐって石段で境内に入るというコースを歩いていただきたいです。
 境内にあるベンチに座って、小樽港を眺めながらおだんごやパンロールを食べ、(宮司さんが、境内で飲食していただいて良いですからごみは皆さんで持ち帰って下さいね、とおっしゃっていました。)小樽の礎を築いた偉人達や歴史上の人物に思いを馳せるも良し、吹く風や流れる雲、飛ぶ鳥に気持を寄せるもよし・・・。
 歴史上の人物と言えば、幕末の武士、新撰組の永倉新八は晩年、今の場所に水天宮が建つ前に近所の子供や自分の孫に剣道の稽古をつけていたそうです。 

 癒しの空気が流れている「水天宮」で現在(今)に身を置きながら、歴史の息遣いを感じてみては如何でしょうか?