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※記事の内容は、配信時の情報に基づきます。 最新情報は、各施設へお問い合わせください。
前回の記事では「花園は辛党だけのものじゃない!スイーツロードだ!」と宣言し、甘党目線で花園銀座商店街の魅力をお伝えしました。今回も引き続き、花園のスイーツを楽しみながら、新たな花園の楽しみ方を求めてまち歩きをしてみました。
前回の記事はコチラ:【小樽通2025春号】ドラマのあるまち小樽・花園をめぐる女子旅レポートvol.3 〜お昼の花銀通り編~
取材をしたのは5月、北海道の遅い桜の季節。 そして今回は、花園スイーツを生み出し、届ける2人の職人さんと出会いました。

趣味が生んだ甘いしあわせ「菓子とhanazono」
花園銀座商店街の坂を登り切った右手に小さな「菓子とhanazono」と書かれた小さな看板があります。(小樽の人には中華料理屋「大丸ラーメン」さんの跡と言ったらピンとくるかもです。)
実は、まず今回のまち歩きで私たちが絶対に行きたかったのはここ!
小樽の友人と話すときに「花園におしゃれなケーキやさんができたよね」と話題にあがるものの、営業日が限られているので周りではあまり行った人がおらず、神秘のベールに包まれているケーキ屋さん…。
そして、春号のスイーツ散歩で伺った時には、なんと直前にケーキがすべて売り切れてしまい悔しい思い出がありました。
今回は絶対に訪れるべく、オープンのタイミングを狙ってお伺いしました!(スイーツ好きの執念)


店内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは洗練されたインテリア。
そして店の奥のカウンターには、ショーケースに並ぶかわいらしいケーキたち。
フルーツをつかったケーキや抹茶のロールケーキ、クッキーなどの焼き菓子も充実しています。落ち着いたシックな店内に、カラフルでみずみずしいケーキたちが映えて美しいこと!


「元々は趣味でお菓子を作っていたんです。作りすぎて余ってしまうから、売ってみようかなと思ったのがきっかけで」と話すのはカウンターにいらっしゃった店主さん。
なんとケーキの製造から販売までお一人でやっているとのこと。
以前はインテリアの仕事をされていたという経歴をお持ちです。
「お菓子作りとは全然違うジャンルですが、何か作るのが好きなんです。」
その器用さは店内の随所に感じられ、手作りならではの温かみのある空間が広がっています。
確かに、飾られている絵画、ソファ、一つ一つにも店主さんのセンスを感じます。

一人で製造から販売まで全てを手がけているため、お店を開けている間は作ることができず、閉店後や夜中に製造作業をされているとのこと。
「結構大変ですが、お客さんに喜んでもらえるのが嬉しくて。」
特に人気なのはロールケーキ。
「スポンジと生クリームの組み合わせが好きで、ロールケーキなら焼いてから1時間くらいで完成するんです。食べたいと思ったときにすぐ食べられるので、ロールケーキが好きなんです。」と店主さん。
確かに、他のケーキは一日置いた方が生地とクリームがなじんで美味しくなるそうですが、ロールケーキは比較的早く完成するのが魅力。
「甘いものが食べたい!」という欲求にすぐ応えてくれる、嬉しいお菓子とのこと。
店主さんの甘いものが好き、ケーキづくりが好きという気持ちが伝わってきます!


ケーキやお菓子は今のところテイクアウトのみ。
将来的には、お菓子だけでなく軽食やお酒に合うものも提供したいという構想もあるとか。
「広さ的にはカフェのような使い方もできると思いますし、ワークショップやギャラリーとしても使える広さがあるので、いろいろ試してみたいですね。」
お店は広々としていて、まだまだ可能性の幅が広がりそうです。
「菓子とhanaono」さんは。花園という夜の街のイメージが強いエリアに、昼間も楽しめる新しい風を吹き込んでいました。
そして我々はこのあとのとある「企み」のためにケーキを選ぶのでした。

●菓子とhanazono
北海道小樽市花園1丁目11−4
営業時間・定休日:11:30〜18:00※なくなり次第終了
不定期営業のため営業日はお店のインスタグラムなどで確認してください。
Instagram
100年続く伝統の味「澤の露」
続いて訪れたのは、明治時代から続く老舗飴屋「澤の露」さん。
「菓子とhanazono」さんからずっと坂を下り、寿司屋通りに近い商店街の入口まで降りてきました。
暖簾がかかる小さなお店に入ると、目に入ったのは美しい水晶のような琥珀色のあめ玉!
そして澤の露さんの商品はなんと、この琥珀色のあめ玉のみ、なのです。


「うちの飴は砂糖と水だけで作っているんです。一般的な飴は水飴を使うことが多いんですが、うちは昔ながらの製法を守っています」と話すのは、澤の露本舗4代目の高久さん。
現在は3代目のお父さんと二人三脚で製造を続けています。
澤の露本舗さんはこの飴「澤の露」一つを明治44年からずっと手作業で製造・販売しています。

「水飴を使わない製法は手間がかかるし、機械化もできません。一瞬で固まってしまうので、まさに時間勝負なんです。」
砂糖を加熱してカラメル状にし、仕上げに冷やしている最中にレモンで香り付けをする、シンプルながら奥深い技術。
いわゆる「べっ甲飴」に近い澤の露の飴玉は、ガラスのような透明感と上品な甘さが特徴です。

「生産量が限られているので、注文が殺到すると追いつかないこともあります。」
それでも、一度この飴を食べると他の飴では満足できないという根強いファンに支えられています。
「本州からのお客さんも多くて、『絶対にここの飴を食べたい』と言って買いに来てくださる方もいらっしゃいます。」
創業100年という長い歴史の中で、戦争を乗り越え、時代の変化を見つめながらも、変わらぬ味を守り続けている澤の露さん。
「一つのことを突き詰めていけば、必ず強みになると思うんです。新しいことをするよりも、この一つをもっと極めていきたい。」
職人気質の言葉に、伝統を守ることの重みと誇りを感じました。

私たちが伺った取材の途中に、澤の露を買いにお客様がいらっしゃいました。
ショーケースを眺めて「手土産用に箱に入ったものを1つ、…あと自分用にも1つ」と。
大切なお客さんに渡したい小樽の味、そして自分用のご褒美にも食べたい小樽の味がこの「澤の露」なのです。

●澤の露本舗
住所:北海道小樽市花園1丁目4番25号
営業時間:11:00〜16:00
定休日:月曜・水曜
ホームページ
実現した花園スイーツロードの夢
さて、前回の記事(春号)で紹介したオタルブさんのスタッフの方が「暖かくなったら、店の前にベンチを出して外で座れるようにしたい。花銀は桜が植えられているので、店先でのお花見なんて楽しそう」と話していたことを覚えていますか?
(詳細は【小樽通2025春号】ドラマのあるまち小樽・花園をめぐる女子旅レポートvol.3 〜お昼の花銀通り編~をご覧ください)
なんと!今回、その夢が現実にしてみました!
「菓子とhanazono」さんでロールケーキやタルトを購入し、オタルブさんでコーヒーをテイクアウト、そして新倉屋さんのどら焼きアイスも加えて、桜の下のベンチでのスイーツタイムを実現!
(新倉屋さんは取材していませんが、言わずもがなの花園スイーツ代表店ですね。)
まさに前回の記事で構想していた「花銀でお気に入りの美味しいお菓子を揃えて、ベンチで桜を見ながら食べる」という過ごし方を体験してきました。


桜の木陰で、手作りのケーキとコーヒー、そして老舗和菓子店のアイス。異なるお店の味が調和して、花園ならではの贅沢なひとときとなりました。
「菓子とhanazono」さんで選んだケーキはフルーツが瑞々しいタルトと抹茶の香りも本格的な深みのあるロールケーキ。
オタルブさんも日替わりのコーヒーを頼みました。
オタルブさんの「持ち込みOK」のスタイルがあるからこそ実現できる、花園スイーツロードの醍醐味。これぞ、ゆったりと時間が過ぎる花園らしい過ごし方です。
きっと配信される頃は、初夏の青々とした新緑と木陰が気持ちいい季節になっているのではないでしょうか。

手しごとが紡ぐ花園の魅力
今回、2つのお店を訪れて感じたのは、どちらも「手しごと」へのこだわりと、お客さんに喜んでもらいたいという純粋な思いでした。
新しいものを生み出す「菓子とhanazono」さんと、伝統を守り続ける「澤の露」さん。
アプローチは異なりますが、どちらも花園というまちに温かみと個性をもたらしています。
花園銀座商店街をゆっくり歩きながら、つくり手の思いが込められた甘いものを味わう。
そんな贅沢な時間を過ごしてみてはいかでしょうか。
<本日のまとめ>
◯ 花園には「手しごと」へのこだわりのある職人さんのスイーツがある!
◯ 少人数で運営されているお店は、営業状況をSNSなどで事前に確認するのがおすすめ
◯ それぞれのお店に込められた職人の思いや歴史を聞いてみると、より深く楽しめます
◯ 手作りならではの温もりを感じながら、ベンチでスイーツとコーヒーを楽しむゆっくりとした時間を過ごしてみてください◎

小樽通編集部 まつださおこ
幸小→長中→潮陵の小樽っ子(今は札幌在住)
大学ではデザインを学んで、小樽のまちづくりに関わったことがきっかけで、今は地域コミュニティや観光などをテーマにしたまちづくりの仕事をしています◎
最近は、仕事の出張先でぬい活をしたり、幼馴染ちゃんとコナンを追ったり、マダミスしたりするのが楽しいです。